第10話

人間支えになるものが無くなるとこんなに貧弱になるものだとこの1週間で知った。今までどんだけ殴られようが蹴られようが耐えられる自信があった。なのにだんだん自信がなくなってきて今は生きることに絶望すら感じる。何で俺は生きているんだ生きて何のためになる。ただ暗い未来しか待っていない。こんなことを1日中考えているとただ一つの結論に至るもうやるしかない




「ふぅー綺麗な空だなー」


最後に見る空が綺麗でよかった。こんなくだらない人生でも最後くらい綺麗な空を見ていなくなりたい。屋上に登ったのはこれで初めてだ、偶然にも鍵が開いていたこれも何かの縁だろう。思い残すこともない家族にもちゃんと遺書を残してきた。じゃあそろそろ行くかさようならと柵を飛び越えようとしたその瞬間急に強い力で引っ張られた


「誰だ」


「死んじゃダメ」


俺の中で玲子が認識された初めての時だった。思いっきり振り払おうとするもむしろすごい勢いで後ろに引っ張られる。


「その命捨てるなら私に頂戴」


俺は関係なく死のうと思い抵抗するが必死の説得をされる


「あなたがいじめられているのは知ってる、苦しかったよね、大変だったよね私なら全て受け止めてあげられるか「何がわかる俺の苦しみが悲しみが絶望が1ミリでもお前に理解できるというのか、てか理解してらならもう楽にしてくれよ。もう耐えられないんだ心の支えになってた森田もいなくなり親とかに心配は掛けたくないもうどうしようもないんだよ。これでもまだ俺に頑張って生きろって言うのか。もういい加減に楽にさせてくれよ。頼むからさぁ」


そこだろう俺の感情が爆発した


「てか綺麗ごとばっかり言いやがって結局お前らも同罪なんだ。何で助けてくれなかったんだどうして……どうして俺なんだよ別の奴だっていいじゃないか何でこんな辛い目に合わなくちゃいけないんだ……」


自分でも分かってるこれがくだらない八つ当たりであることをそれでも抑えられない感情がどんどん暴走していく


「てかどうせお前も俺のことを助けるとか受けとめるとか言ってどうせあざ笑いにきたんだろ「そんなことない、私は「嘘だ嘘だ黙れ、どうせもお前も綺麗ごと行っても森田と一緒だ結局は裏切る」


さらに強い力で引っ張られまるでお母さんが子供をあやすように抱き着かれ頭を撫でられるような形になった。


「大丈夫、大丈夫だから落ち着いてあたしは裏切らないから。落ち着いて」


そう言って撫でられているとだんだんいろいろの感情が積もり


「わぁぁぁぁずっと辛かったよ、誰も助けてくれないし心配させたくないから相談もできなかったし」


まるで子供の様に泣きじゃくった、今までためてたものをすべてぶつけた。

それでも優しく「辛かったね、もう大丈夫」と言い優しく撫でてくれた。

そして泣きつかれた俺は少女の膝を枕にし寝てしまった。








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