相楽高校女子ボクシング部 ~最強ボクサーだった俺が"特殊性癖持ち"女子限定のスポ根ラブコメハーレム物語を始めるようです~
第07話 ~五十嵐風音が、"リング上オナニー"に目覚めたキッカケを語りだした~
第07話 ~五十嵐風音が、"リング上オナニー"に目覚めたキッカケを語りだした~
「大橋、お前……相鉄線ユーザーだったのかよ?」
「ああ、奇遇だな」
20時。場所は校門前。
初練習を終えて、俺と五十嵐は暗い道を共に歩いていた。
帰る方面が同じであるため、横浜駅まで共に帰る予定だったが、
まさか線まで一緒とは。
「五十嵐は何駅で降りるんだ?」
「大和」
「ああ、そしたら急行か。俺は各停の和田町で降りるから電車は別だな」
「だな」
俺たちは再び歩き出した。
人影もあまりなく、コツ、コツ、と五十嵐のローファーが地面を打つ音が響く。
「今日は、久しぶりに本格的な練習したからよぉ……明日筋肉痛が酷そうだぜ」
「五十嵐が入部してから今まではどんな練習をしてたんだ?」
ハーッと、五十嵐が溜息をつく。
「人数も少ないし、顧問も滅多に来ないらしいし、設備の持ち腐れって感じの練習」
「そうか……」
設備は本当に整っているし、
昔はもっと賑やかな部活だったのかな。
「ウチが部長と長谷川サンに教える、みたいな感じだったよ基本」
「まあそうなるだろうな」
少しドヤ顔をしつつ、苦笑いを浮かべる。
まあしかし、こいつのボクシングは本当に良い見本になる忠実さだ。
「部長たちが1年の時は、強い3年生が結構いたっぽくてよ、人数も10人くらいいたらしいんだ」
「へー、ボクシング部として成り立ってたんだな」
「そうそう。まあそれが奇跡的に全盛期だったってわけだ」
ボクシング部なんて、強豪じゃない限り継続的に人が沢山入るような部活じゃないもんな。
続けて五十嵐が口を開く。
「あの人たちはまだボクシング始めて1年だし、本格的な練習はあまりしてない」
「見た感じそうだな。まったく素人ってわけじゃないが、完全に初心者レベルだ」
「まあウチはそんな本気でやるつもりはないから、どっちでもいいんだけどよ」
「そうなのか?」
「おうよ、まあお前が入ってくれていい練習ができるようにはなったけどな」
いつかの朝の教室の時のように、胸をドンと押される。
今回は眉間に皺が寄ってない、並びの良い白い歯を出して笑っている。
「本気じゃないなら、リングでオナニーするためにボクシング部に入ったのか?」
「ローブローいるか?」
「ノーサンキュー」
可愛いギャルの笑顔が一瞬で金剛力士像と化した。
俺は無意識にカバンで股間を覆い隠した。
「誰にも言ってねぇだろうな!?」
「本当に言ってない」
「はぁ……なんかさ、ウチもよくわかんねーんだけどさ……」
なんかよくわからないけど、顔を赤らめてモジモジし始めた。
「中学の時、授業中にこっそり"する"のクセになっちゃってさ」
「お、おう……?」
どういう切り出し?
「ウチもみんなも真面目に頑張ってる空間で……」
「ウチだけ、えっちぃこと考えて……気持ちいい思いしてるのがさ」
「はあ……」
「授業中の教室とか、先生が説教してる全校集会とか、ジムとか……」
「すげー興奮して……それで、リングの上ってさ」
「うん」
「ウチもみんなも死に物狂いで歯喰いしばってる場所なわけじゃん?」
「そんなところで、パンツ脱いで座ってみたら、なんか謎の解放感と興奮が押し寄せてきて……」
「シてみたら、ハマっちゃって……この学校でリングを見つけた時はめちゃくちゃ喜んだよ」
俺は何を聞かされてるの?
五十嵐風音の性癖誕生秘話。
知ってどうすんねん。
「とりあえず、背徳感だろ?」
「うーん……そうなんだけど違うような……」
「もうどっちでもいいわ」
頬を赤らめてモジモジする五十嵐を横目に、俺は早足でその少し前を歩いた。
こんな話、しっかり目を見てする話じゃないだろ。
「ウチ、やっぱ変な子だよな……?」
珍しく弱々しい声音だった。
思わず振り返ると、俺は言ってやった。
「大丈夫だ。みんな、そんなもんだ」
このド変態しかいないボクシング部では、な。
―――――――――――――
――――――――
――――
――
週明けからの練習メニューを考えよう。
恐らく、輪島さんと長谷川さんは、1年時にやっていたメニューを今は反復しているだけだ。
新しい技術を取り込んでそうにはないし、余計なクセもついたまま継続している。
指導者不在で2年目を迎えて、きっと彼女たちも不安だろうな。
輪島さん。
あの人は、基礎を全うしようという意識はあるんだが、体にそれがついてきていない。
一旦フィジカルトレーニングをメインにして、カラダ全体を使ってパンチに力を伝える感覚を養ってもらおう。
あと、今年の夏の大会に出るのであれば、スパーリングもやっていかなければ。
長谷川さん。
五十嵐から聞いた話によるとJカップらしい。
それを聞いた俺が思わず満面の笑みを浮かべたのを見て、五十嵐はボディブローを放った。
まだ左の脇腹がジンジンと痛む。
違う違う。あの人は、とにかく左のパワーがある。
フォームを修正して、もっとサウスポーとしての価値を高めよう。
あと、長谷川さんがサウスポーでよかった。
サウスポーが有利と言われるのはサウスポーの人口が単純に少なく、対策練習がしづらいから。
チームに1人いれば、サウスポー対策の練習は長谷川さんで補填できる。
ヘッドギアもあってグローブも厚いアマチュアボクシングでは、
ブンブン丸は、あまり有効に働くことはないし。
五十嵐は、1回軽いスパーで流して、もっと実力を見よう。
実績がすべてを証明しているが、あいつがもっとやる気になってくれたら、
今年の夏にはインターハイに出れるくらいのレベルなんだけどなぁ。
「っと……もうこんな時間か」
時計は午前1時を指していた。
そろそろ寝るか。
ベッドに横たわっていた俺は、電気のスイッチを切り、そのまま瞼を閉じた――。
1週間後。
あれからというものの、俺は毎日練習場に来て、3人を指導していた。
「輪島さん! ガードは下げずにカウンターをじっくり狙ってください!」
「五十嵐! そこで攻撃を終わらせずコンボを続けろ!じゃないと距離を取られるぞ!」
相変わらず汗臭い練習場には、俺の声が響き渡りっぱなしだった。
リング上にはヘッドギアを付けた輪島さんと五十嵐。
身長は輪島さんの方が高いが、恐らく体重は同じくらい。
今日はできるだけ実践的な形式で練習をしつつ、少しずつ修正をしていく日にした。
「シッ!」
「うおっ!?」
ラッシュをしていた五十嵐だが、輪島さんのカウンター右フックが直撃し一瞬手が止まる。
「逃すな! 輪島さん!」
「は、はいッ……!」
間髪入れずにコンビネーションを打ち込もうとするものの、すぐに五十嵐が回り込んで距離を取る。
位置関係的には振り出しに戻った。
「残り1分ですわよ!」
リング脇に立つ俺の隣には長谷川さん。
大きく隆起した胸に、汗で湿った髪の毛が張り付いている。
この人、毎日新作の童貞筆下ろしAVを持ってくることさえなくなれば、
真面目に練習してくれる健気な人なんだけどな。
それよりも、さっきの輪島さんのカウンター右フック。
ガードに精一杯で頭が下がってしまっている状態だったから、相手のことはあまり見えていない。
にもかかわらず、カウンターは意外と当たっている。
五十嵐でもびっくりするような、思いがけないパンチが当たる光景をこの1週間はしばしば見ていた。
「正直運動センスはないが……不思議と"当て勘"がいいな」
スパーリングや試合が始まってみれば、意外と冷静になれず相手のことも見えなくなることがある。
そんな中で、時たま絶妙にヒットするパンチを出す。
この能力や感覚が優れていることを「当て勘が良い」と言ったりする。
相変わらず、五十嵐の圧倒的優勢であるものの、輪島さんもなかなか隙を突いた攻撃をする。
ミットやシャドーを見てると、正直下手な印象しかなかったが……
「案外、目がいいのかもしれないな」
これは基礎を固めて実践に慣れればきっと、弱小ボクサーで3年間を終えることはないだろう。
そこで、ホイッスル音。
「はぁっ……はぁ……風音ちゃんありがとう……」
「はぁ……はぁっ、ありがとうございました、部長」
互いのグローブを合わせ、リングを降りる。
「輪島さん、あなたはきっと目がいい」
「……?」
「ガードが下がる理由が分かった。目がいいから、ガードよりも頭や体をズラして避ける方がやりやすいんだ」
「そう、なのかな?」
「多分。身長の割に体重が軽いし、ガードをするのが苦手ならインファイトは向いてないから足を使って動き回る戦法にした方がいい」
至近距離での戦いを得意とするのがインファイター。
足を使って距離を置きながら戦うのがアウトボクサー。
どちらかというと、輪島さんはアウトボクサー体質かもしれない。
インファイターとして接近戦をゴリゴリに戦うには高い防御技術は必須条件だ。
「ほう……」
「まあガードはクセを付けてある程度は身に付けてもらいますが……一旦は足を使って動き回って相手の攻撃をロングレンジで制御していきましょう」
「わ、わかった! ありがとう大橋くん」
「いえ……休憩したあと軽いスパーでおさらいしましょうか!」
「うんっ!」
俺は今、明らかにボクシングに再熱している。
入学当初、女と遊ぶことしか脳がなかった俺が、
何かを取り戻したかのように必死になっている。
滑稽かもしれないが、
特に不満はない、と思う。
ただ、俺は1つ懸念点を抱えていた。
うん、今すっげー俺もみんなも頑張ってるけどさ。
今月中に部員5人集まらなかったら、廃部じゃね?
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