Her Remedy
藤原埼玉
Plologue 〜Funeral〜
遠く荒涼の砂漠を不死の祈手達が列を成す。
人の姿形すら忘れた異形の化け物たちの行脚。
自らの身が苦しみと忌まわしき呪いから解き放たれることを祈っているのだ。
自我を失くし、かつて人であった頃の記憶も失くし、身が引き裂かれるような苦しみを孕みながらもなお。
詰りそれが僕たちの姿であり、僕たちの世界の在り方そのものだ。
神の血を引く王の玉座は先代の王以来埋め合わせられることはなく、神たる王を失したまま世界は少しずつ歪み、壊れ、腐れ、そして病が蔓延した。不死という病が。
世界は薄氷を踏むが如くに脆く、酷薄だ。
この物語は取るに足らない物語。僕だけの知る物語。
それは口伝で伝え語るには余りにも穢れすぎ、そして悪戯に時がひとりでに紡がれるに任せすぎた。
最も低きにあり、最も穢れたもの。不死という病に侵された奴隷騎士。
泡沫の夢のために、王の死後もなお不死者を屠り続けた者。
その名はフィデルタ。
かつて僕の姉だった一介の塵。
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