第8話 誰がために鐘は鳴る

第八章 

 

 本番の前日になり、俺たちは団長に事務所に呼び出された。

 団長はいつものように、椅子にどっかりと腰を下ろし、つい最近真相が明らかとなったばかりの付け髭をチリチリと指でいじっていた。膝にはパグ犬が乗っていて、すやすやと眠っていた。

 俺たちは団長の机の前に、整列して並んで立った。

「いよいよ明日だな」

「……はい」

 俺は緊張の面持ちでうなずく。

「お前たちが大舞台に立てることを、俺は誇りに思うぞ」

 団長が俺に目をやる。

「明治、正直俺はまだ、お前が出場することに賛同しきれてない。本調子じゃない中で大舞台に出て、万が一失敗した時に、致命的な傷を負うことを危惧してる。それはべつに、お前の力を信じていないわけじゃない」

「……わかっています」

「それでもお前を舞台に送り出すのは、お前の覚悟が本物だからだ。詳しい事情はわからんが、目を見ればわかる。お前は若い頃の俺に似てるからな」

「……え」

 一瞬耳を疑う。俺は三十年後の自分が、眼前に座っているちょび髭の小男になり得るという可能性を知って、愕然とした。

 目の端で、ノラが顔を逸らして笑いを堪えているのが見えた。

「本番では、お前はとにかく、なるべく観客席に目を向けるな。ノラにだけ語りかけるようなつもりでいろ。気休めの対処療法だけど、ないよりましだ。とにかく、やり切ることが大事だしな」

「わかりました」

「それから、ノラ」

 団長がノラに目を向ける。

「はい」

「お前に関しちゃ、あまり心配はしていない。堂々とやれるだろうと思ってる。ただ一つ危惧してるのは、お前が明治のフォローに気が向きすぎちまうことだ。普段は冷静なお前だが、こと明治のフォローになると、とちっちまうことがある。とちるとお前はたぶん、地が出て関西弁になる。関西弁になるとお前は、ツッコミだ。ボケられない。そうなると、漫才全体の流れをぶった切ることになる。だからお前は、関西弁になっちゃだめだ。堪えて、キャラを一貫させろ。いいな?」

「承知いたしました」

 ノラがうやうやしく頭を下げた。

「よし。じゃあお前たちに、渡すものがある」

「渡すもの?」

「おおい、良子―!あれ持ってきてくれー!」

 団長が手でメガホンをつくって、奥さんの名を呼ぶ。

「はいはいはい」

 奥さんがドアを開けて部屋の中に入ってきた。手には何やら抱えられていて、奥さんはそれを机の上に並べた。

 それは、二着の服だった。

「何ですか、これ?」

「俺からの餞別のスーツだ。これ着て、本番に臨め。漫才師はやっぱりスーツだ。ピシッと映える」

 俺とノラは顔を見合わせ、ほころばせた。

「いいんですか?」

「いいも何も、お前らはアンブー舎を背負って出場するわけだからな。貧相な格好はさせられねえよ」

 俺は団長の心意気に胸を打たれた。

「そんじゃお前ら、明日はそれ着て、頑張ってこい」

 団長が俺に目を移す。

「明治、男上げろよ」

「……ありがとうございます」

 帰り際、奥さんが玄関まで見送ってくれた。

「ごめんなさいね、時間もないのに、来てもらっちゃって」

 奥さんがすまなそうに、眉を曲げて言った。

「いえ。こんな物までもらっちゃって、本当嬉しいです」

「あの人、あなたたちが可愛くて仕方がないのよ。私たち、子供がいないでしょう。私が若い頃病気して、子宮取っちゃって子供産めなくなっちゃったから。だからあの人にとって、団員は皆、自分の子供同然なのよ」

 そう言って奥さんは微笑んだ。

「あなたたちの幸運を、夫婦そろって、祈っているわ」

 俺とノラは一度目を合わせ、それから無言で礼をした。


 家に帰ると、俺たちは早速スーツに袖を通してみることにした。

 俺はトイレに入って、団長にもらったスーツを広げてみた。白いワイシャツに、うっすらとストライプの入ったグレーのスーツだった。予想よりもちょっとくたびれていたので、そういう仕様なのかなと思って気に留めなかったが、実際に袖を通してみたところで俺は拭いがたい違和感を感じた。袖が手首まで五センチ程足りず、しかも前のボタンが留まらなかった。スラックスを履いてみると、丈が脛の真ん中までしかなく、一方でウェストは緩くてだぼっとしていて、ほとんど短パンのようだった。

 首をかしげながらトイレから出ると、そこにはピンクのシャツにネイビーのジャケットとパンツでぴしっと決めたノラが立っていた。毎日同じパーカーを着ているいつもの様相と雰囲気が違うので、俺は少し戸惑った。

 ノラは俺を見た瞬間、ぷっと吹き出し、口を押えて背を向けてぷるぷる震えはじめた。最初は笑いを堪えている風だったが、やがて声を上げて笑い始めた。俺は窓ガラスに映った自分を見て、ノラが吹き出した理由をすぐに理解した。痩せた猫背の男が、袖も裾も丈も短いミニチュアサイズのスーツを着ている姿は、なんとも滑稽だった。

 俺はすぐに団長に電話した。

「団長、どういうことですか、これ!」

「どういうことって?」

「スーツが小さすぎですよ。サイズ間違ってんじゃないですか」

「だってそれ、俺が昔着てたやつだもん」

「え……これ団長のお古ですか?」

「お古じゃないよ、継承だよ。お前も成長したし、ぼちぼち独り立ちかなと思って、俺が若い頃愛用してた一張羅を継承したんだよ。そのスーツには、俺の人生の軌跡が詰まってる。それを他でもないお前に、着てほしかったんだ」

「団長……」

 なるほど、これには団長のそういう思いが込められていたのか。

「あとノラにいいスーツ買いすぎて、金が足りなくて明治は適当でいいかな、っていうのもちょっとだけあった」

「完全に後者がメインの理由でしょ。こんなん、みっともないですよ。いい笑いもんですよ」

「笑ってくれんなら結構じゃないか」

「……まあそうですけど。いや、そういうことじゃなくてですね」

「グダグダ言ってねえで、明日はそれ着てぶちかましてこい。じゃあな」

 そして通話が途切れた。俺はしばし、電話を持ったまま立ちすくんだ。

 ノラは隣でまだ笑い転げていた。 


                   *


 本番当日になった。

 空には灰色の雲がみっしりと敷き詰められていて、低い天井のようだった。小雨がぱらついて、天王洲のビル群に淡い霞がかかって見えた。濡れた地面に街の光が反射していた。階を昇っていくエレベーターから、眼下に行きかう人々がミニチュアみたいに小さく見えた。

 楽屋の雰囲気は異様だった。普段のライブの時のような、雑談でもして和気藹々といった様子は皆無だった。コンビ各々が、隅の白い壁に向かってぶつぶつ稽古をしているか、あるいは椅子に座って煙草を吸いながら虚空を眺めていたりした。緊張が具現化して見えてきそうな気がした。

 俺たちはテーブルの一番端に座り、出番を待つことにした。俺は小雨で湿ったジャンパーを椅子の背もたれにかけた。俺はそわそわと落ち着きなく、貧乏ゆすりをしたり、指でタカタカとテーブルを叩いたり、無意味に髪の毛をかきあげたりした。頭の中にはネタの台詞がグルグルと回っていた。

「緊張しておられますか?」

 俺ははっと我に返る。

「ぜえんぜん」

 言葉とは裏腹に、手が震えてペットボトルの水がピチャピチャ音を立てていた。自分で発した言葉が、どこかよそよそしい響きがあって、ほとんど自分のものとは思えなかった。瞬きの速度も尋常じゃないもので、視界のすべてかサブリミナルのようになっていた。

 急に足元にガクンという揺れを感じた。

「地震?」

 俺が声を上げて立ち上がると、すでに揺れは収まっていた。楽屋にいる何人かがこちらを見た。それは地震ではなくて、緊張のあまり強くなった自分の脈の拍動だった。

 俺はその場を取り繕うために、不自然に笑った。

「参っちゃうよ。自分の脈と地震間違えちった。俺の直下だけマグニチュード六くらいあったよ。ちょっと水でも飲もうかな」

 そう言って手に取ったペットボトルは隣に座っているコンビの物だった。怪訝な目でこちらをじろりと睨んできた。

「あ、すいません……」

 俺は萎縮してすぐに手を引っ込めた。

 一連の俺の余裕のない状況を見て、ノラが鞄の中から何やら取り出して俺の前に置いた。それは、何の変哲もないオレンジジュースの紙パックだった。

「何これ?」

「ゲン担ぎにございます」

 ノラが人差し指を立てて言った。

「わたくしの父が、オレンジジュースを飲んだ日はスベり知らずと言って、よく舞台前に飲んでいたのです。わたくしたちもあやかりましょう」

 そしてノラが、紙パックにストローをさし、うまそうにチュルチュルとオレンジジュースを飲みだした。半透明のストローがオレンジ色に染まった。

 俺も震える手でやっとこさストローをさしたが、今の俺に悠長に味わう余裕などなく、三秒でジュルジュルと飲み干し、揚句にむせてゲホゲホと咳込んだ。その様子を見て、さすがのノラも、こりゃ参ったなといった感じでこめかみを指で押さえた。本番前でこんな状態だったら、いったい舞台に立ったらどうなってしまうんだろうと思った。 

 尻に振動を感じて、俺はぎくりと体を震わせた。ポケットの中の携帯電話が震えていたのだ。取り出してディスプレイを見ると、そこには表示圏外と表示されていた。

 こんな時に誰だろうと思い、楽屋を出て、通話ボタンを押した。

「はい、もしもし」

「ヨオ、明治」

 聞き覚えのある、変なイントネーションの言葉だった。

「パナモか?」

「ウン、俺パナモ。久シブリ」

 パナモの口調が、妙に神妙そうだった。

「明治、今回ハ、残念ダッタナ……。俺モ残念。デモ気ヲ落トスナヨ。明治ニハ、漫才以外ニモイイトコ沢山アル。例エバ……」

しばしの沈黙。

「パット思イ浮カバネエヤ。マア、コレヲバネニシテ、頑張ッテ――」

「おい、ちょっと待て。いきなり何の事だ?」

「アレ?漫才ノ大会ガアッタッテ、団長カラ聞イタンダケド」

「まだ終わってねえよ。これからだよ」

「ア、ソウカソウカ。マダダッタカ。フーン……。俺、明治ノ勝利ヲ確信シテルゼ」

「嘘つけ。お前、完全に俺が負ける前提で、かける言葉考えてたろ」

「マア、ソウ言ウナヨ」

 電話の向こうで、ゲラゲラ笑う声が聞こえる。

「今、バングラデシュにいるのか?」

「ウン、バングラデシュ。コッチ日照リ続キデサ、日焼ケシテ肌ガ褐色二ナッチマッタヨ」

「元から褐色だろ!」

 俺はすかさずツッコむ。なんとも懐かしいやりとりだった。

「今、実家デ家族ト住ンデンダ。兄弟九人イルンダゼ」

「すげえ大家族だなあ」

 俺は、パナモみたいのがわらわらと九人いるところを想像して、身震いした。

「ア、ナンカチョット、兄貴ガ明治ト話ガシタインダトヨ。代ワルナ」

「えっ!」

 俺は驚いた。

「おい、ちょっと。べつにお前の兄貴と話すことなんかねえよ」

 聞く耳を持つわけもなく、ガチャガチャと電話を慌ただしく渡す音が聞こえた。

「メジ?アッサラーム、アライクム」

「アライグマ?」

「&%×#*?$○! @¥&#¥*×! %$&¥○*」

 パナモの兄貴とやらが、野太い声で早口に訳のわからない言語を捲し立ててくる。

「……いや、あのう……。サンキューサンキュー」

「¥*?&%○&¥#$×*! *#$¥%&@*¥@+&!」

「……おー……あー……あい、きゃんと、あんだーすたんど……あい、きゃんと、あんだーすたんど、ゆあらんぐいじ。ちぇんじ、ちぇんじ、パナモ。OK?」

「*+@&¥$? @*+¥&$%#*|◎#%○|*――」

「だーもう!うっせえ!とっとと代われや、パナモに!」

 電話の向こうで盛大な笑い声が聞こえてきた。

「モシモシ」

 パナモに代わった。パナモは笑い疲れたといった感じで、ヒューヒュー息をしていた。

「ヤベエ。マジ面白カッタ」

「面白いじゃねえよ。こっちは冷や汗かいたよ、まったく」

 電話の向こうで、またボソボソと話し声が聞こえた。

「ナンカ、兄貴ガ明治ノコト、気サクデイイ奴、ッテベタ褒メシテルゼ」

「今のやり取りで俺の何がわかったっつうんだよ!何一つ通じ合わなかっただろ!適当だろ、それ」

「デモ間違ッタコト言ッテナイト思ウゼ」

「ああそう……ありがとう」

 褒められると何を返していいのかがわからないので、俺は口ごもる。

「明治ハ、元気デヤッテルカ?」

「まあ、元気と言えば元気だけどさ。新しい相方も見つかったし」

「本当カ。相手ヲコロコロ変エヤガッテ、尻軽ダナ」

「尻軽じゃねえよ。だいたい好きで変えたんじゃねえぞ。お前がいなくなってこっちがどんだけ苦労したと思ってんだ」

「悪カッタヨ……モグモグ……謝ルヨ……ムシャムシャ……ゴメンナ……ン、ガッググ」

「全然悪びれてねえだろ、お前。なんか食べる片手間に謝ってるだろ。しかも最後ちょっと喉詰まらせてないか?大丈夫か?」

 電話の向こうで、水をゴクゴク飲んで、ふうと一息つく音が聞こえた。

「問題ナイ。トコロデ大会ノ賞金ハイクラナンダ?」

「百万円だよ」

「百万円!マジカ、ソレ。一生遊ンデ暮ラセルオ金ジャネエカヨ」

「百万で一生は無理だろ。俺の人生どんだけ安いんだよ」

 俺はちらりと腕時計を見る。本番が差し迫っている。

「悪い。もうちょっとで本番だ」

「ソウカ。ジャア、アト二時間程喋ロウゼ」

「アホか!時間がないって言ってんだよ」

 パナモのゲラゲラ笑う声が聞こえる。

「テレビ出ンノ?」

「おお、テレビ出るよ。人生初」

「コッチデモ放送サレルカナ?」

「無理に決まってるだろ。関東ローカルだっつーの」

「ソウカ。スゲエ残念。イツカ滅茶苦茶有名ニナッテ、コッチデモ明治ノ顔見レルヨウニナルトイイナ」

「そっちまで名が届くくらい有名になるなんて、ちょっとありえないぜ。世界規模だぜ」

「テロデモ起コセバ」

「お前今、相当やばいこと言ってるぞ」

 またパナモの笑い声が聞こえた。

「ンジャ明治、本番頑張ッテ来イヨ。結果ガドウデモ、俺二トッテハ明治ガ一番ダゼ」

「パナモ……ありがとな」

「二時間後クライ二、改メテ励マシノ電話カケレバイイヨナ」

「だから残念な結果前提でものを言うなよ」

「ア、ナンカ兄チャンガ、マダ明治ト話シ足リナインダトヨ。代ワルナ」

「メジ? *@&%+#%×+○*――」

 俺はふたたびベンガル語と思しき声が聞こえてくると同時に、通話を切った。

 楽屋に戻ると、ノラが背筋をピンと伸ばして、静かに前を見据えたまま座っていた。俺はその隣の椅子を引いて、腰を下ろしてふうと息をついた。

「いかがされましたのでしょうか?」

「いや、昔の相方からの電話でさ」

「パナモ様、でしたっけ。プエルトリコの」

「バングラデシュね。相変わらずの適当ぶりだったよ。本番前だってのに、なんかどっと疲れちゃったよ」

「左様ですか。しかし先ほどより、どこかお顔色がよくて表情が柔和な印象です」

 言われてみると、確かにさっきまでの切羽詰った緊張感がなくなっていた。パナモと喋っているうちに、頭の中をぐるぐる回っていた面倒な事が吹っ飛んでしまった。

「きっと、よい方なのでしょうね」

「そりゃそうさ。滅茶苦茶いい奴だよ、あいつ」

「本番入りまーす」

 楽屋にアシスタントディレクターの声が響いた。一瞬、皆の視線が一斉に声の方向に集中し、そしてまた自分たちの世界に戻っていった。室内の空気がさらに張り詰めたものに変化した。

「いよいよですね」

「うん」

 俺は何度か自分の手を見て、ぎゅっと握った。

「やるしかねえな」

 楽屋にいる人間は次々に呼ばれていき、徐々にその人数を減らしていった。モニターで舞台の様子を見ることができたが、俺たちはあえて見ないでおくことにした。他人の演技に注意を向けるような余裕はないのだ。

「百万円とったらどうする?」

 俺はお互いを少しリラックスするために、話を向けてみた。

「トラカワってやつでしょうか」

「トラカワ?」

「捕らぬ狸の皮算用です」

「そりゃだって、今が一番夢がある時じゃん。結果が出てからじゃこんな話できないよ」

「そうですねえ……」

 ノラが人差し指を手に当てて考える。

「あぶく銭ですし、ばら撒いてしまいます、スカイツリー上から」

「おおっ、豪快」

「全部十円玉にして」

「死人が出る!それ下手すっと死人が出るかもよ!」

「明治様はどうされますか?」

「そうだねえ……大量のパンの耳を購入する、かな。一度でいいからストックを気にせず腹いっぱい食べてみたいんだ」

 ノラが憐れむ視線で俺を見る。

「悲しきは貧乏の性というやつでしょうか……」

 そして俺たちは互いを見て、少し笑った。

「明治の乱のお二方、準備の方、お願いしまーす」

 背後から声が聞こえ、俺たちは立ち上がって楽屋を出た。

 長い廊下を渡り、舞台袖につくと、板一枚隔てた向こうから、波のような大きな笑い声が何度も聞こえた。ちらりと会場を見ると、そこには何百人ものお客さんが座っており、壮観だった。リハーサルの時と同じ会場とは思えなかった。

「……すごいね」

「ええ」

「なんかもう、笑うしかないや」

「今なら、父がどれ程の恐怖と不安の中で生きていたのか、よくわかります。評価の眼差しというのは、怖いものです」

「まあでも、ちょっと吹っ切れた気がするよ。お客さんとか、採点する人たちの目もあるけど、でもそれより何より、今の俺にとっちゃテレビの向こうのある一人に笑ってもらえればそれでいいからさ。あいつにだけ届けば、それでいいや。もう、そう考えて、やり切る」

 ノラが少しはっとしたような顔をして、それからうっすらと微笑んだ。

「初めてお会いした時から、こういうことになるのではないかと、淡い予感があったのです。こうして、スポットライトの下で、二人で舞台に立つのではないかと。ずっとそのイメージが離れませんでした。どうしてなのだろうと思っていましたが、その理由が、今はっきりとわかりました。明治様、あなたはやはり、わたくしの父に似ております」

「ノラの、お父さんに?」

「ええ。ですが、父と同じ道は踏ませません。わたくしが、そうさせません。わたくしが、あなたを支えます」

 ノラが舞台袖の幕をギュッと握った。

「エントリーナンバー二〇七、明治の乱!」

 呼び出しの声がかかる。いよいよ本番だ。

「俺だってノラを支える。だって俺たち、コンビだからな」

 俺はそう言って、ノラに向かって拳を突き出した。ノラはにこりと笑って、こつんと拳を合わせた。

「ほいじゃあ、明治の乱、いざ……」

「「出陣!」」

 そして俺たちは、スポットライトに照らされた舞台に向かって、颯爽と飛び出した。

「はいどうもー!」 

 俺は拳を突き出してせかせかとマイクのある中央まで歩いていく。そして何はなくとも声だけは張る。ノラはいつも通り、俺の後ろを静かにマイペースに歩いて、数秒の間をもってマイクまで辿り着く。

 マイクの前に立ったところで、否応なしに会場の人波が視界に入ってきてしまう。途端に心臓が危うい鼓動を始める。しかし、あくまでノラに対して語りかけるように、という団長の言葉を思い出し、俺は慌ててノラに視線を移す。

「どうも、鈴原明治です」

「身も蓋もないこと言うようですが、大野蘭、通称ノラと申します」

「べつに身も蓋もないってことないですけどね」

「何やら今日は珍妙な格好で」

 ノラが俺の、サイズの小さな上下のスーツを指差す。

「これはさる尊敬する先輩からの餞別でね。ぴしっとスーツで決めろと。晴れの舞台ですから」

「あの、ひょっとして、ご存知ないんですか、あれを……」

「あれ?あれって何ですか?」

「恥」

「ひどいこと言ってる。今ひどいこと言ってるよ」

 普段ならば、ここいらで観客にちらりと視線を向けて、お伺いを立てるところである。そこで間やテンポの微調整を図るのだ。しかし、今回に限ってはそんな余裕はない。とにかく、練習した通りを演ずることに徹する。 

「それにしても、本日はわたくしたちの晴れの舞台にこんなにたくさんのファンの方に来ていただいて」

「僕らのファンとは限らないですけどね。全然売れてないですし」

「そういえばファンで思い出したんですけど、世の中不安なことっていっぱいありますよね」

「すんごい強引に持っていったね」

「でも世の中何が不安て、しょうもない医者に診察を受けるくらい不安なことってありませんよね」

「やってみましょうか」 

 診察のコントが始まる。ここからが勝負である。俺が患者で、ノラが医者だ。

「次の人どうぞー」

「ガチャ、失礼します」

「その次の人もどうぞー」

「えっ、ここに行列つくる気ですか?まとめて診察?」

 ほんの少しだが、耳元に笑い声が届く。余裕がない中にも、ほのかな安堵が生まれる。これなら、いけるかもしれない。

「お名前よろしいですか?」

「鈴原明治です」

「中学の頃のあだ名は?」

「……妖怪ごぼう猫背です」

「上履きにはよく何を入れられてましたか?」

「……給食の残飯です。……あの、いります、この情報?なんかすごい嫌な記憶が喚起されてんですけど」

「今日はどうされましたか?」

「なんか最近、吐き気があるんですよね。ご飯とか食べてると、うえってなっちゃって」

「そうですか。最終月経はいつ頃ですか?」

「つわりじゃないですよ。その可能性だけは絶対にないです。素人の僕にもわかります」

 その時であった。

 観客席から、誰かが空き缶を床に落とす音が聞こえた。ただでさえ反響しやすい会場内で、缶の乾いた音が響いた。そして俺は、本当に無意識のうちに、反射的に、顔が音のした方向に向いてしまった。

 目にした光景は、想像を絶するものだった。

今まで見たことも数の人間が、一斉にこちらの一挙手一投足を凝視しているのであった。視線を右から左に動かしても、そこには百八十度、人の顔、顔、顔、がびっしりと並んでいた。

 心臓がドクンと大きく拍動するのがわかった。脈の速度が一気に上がり、どっと汗が吹き出した。

 掛け合いを続けながらも、ノラがこちらの異変に気が付く。表情は変えないが、その目には淡い焦りの色が浮かんでくる。きっと今、全力で俺のフォローに頭を巡らせているのだ。

 呼吸が浅く早くなって、手の指先がチリチリと痺れた。過呼吸の症状が出始めたのだ。こうなると危うい。徐々に意識が薄いものになり、視界が淡い白みを帯びてくる。もはや思考がうまく回らず、自分が何を話しているかも定かでない。練習で刻んだ記憶の断片を口に出しているだけである。

 無意識のうちに、会話のテンポが速くなる。普段なら落ち着いて修正を試みるノラだが、今回はノラも俺につられるような形で口調を速めてしまう。きっと俺がなんとか持っているうちに、ネタを終わらせようとしているのだ。

 手足がガタガタと震えてきた。胃の底から酸味を帯びた液体が逆流してきた。満身創痍もいいところである。ぼやけた意識の中で、観客の顔が、ひとつ、またひとつと、中学一年生の時のクラスメートの顔に変化していった。

 あの時の情景を、はっきりと思い出す。

 俺は掃除用具入れの中に、丸四時間閉じ込められていた。どうして入れられたのか、それは今でもわからない。たぶん、俺が弱くて惨めな人間だったからだろう。俺は真っ暗な中で、必死で叫んで助けを求めた。でもだれも助けてはくれなかった。用具入れをドンと蹴られ、「うるせえ。声出したら殺すぞ」と凄まれただけだった。俺は怖くて、息をひそめた。俺がいないというのに、先生はそんなこと気が付きもしないで授業をしていた。自分がいないのにも関わらず、何事もないかのように教室の時間が過ぎていくのを見ると、なんだか自分が透明になったように感じた。四時間が永遠にも思えるほど、長く感じられた。そして、帰りのホームルームの直前に、俺は解放された。扉が開け放たれ、俺は床にごろんと転がって、這いつくばった。

 そして、顔を上げた時の、クラスメートの表情。ある者は腹を抱えて笑い、ある者は侮蔑の意味を込めて薄く笑い、ある者は無表情にこちらを見ていた。しかしそのどれもが共通していたのが、弱者への視線、ということだった。

 結局俺は、あれから十年経った今も、何も変わっていないということだ。笑いがどうのと言いながら、舞台でネタひとつ演じ切ることができない。手術を前にして、恐れおののく妹にも、何もしてやれない。弱くて無力で、空っぽだ。

淡い諦観が胸に滲んだ。

「だって体重四十九キロって、死ぬまで苦しむ、みたいですごい縁起が悪いじゃないですか」

 薄れる意識の中で、ノラの台詞が微かに聞こえた。まるで風が吹きすさぶ崖を挟んだ向こう側から声を聞いているようだった。次の台詞は、『え、あなた縁起で人の健康測ってるの?』という俺のツッコミだ。しかしここが限界だった。頭に台詞が浮かんでも、それが言葉として口から出すことができなくなっていた。

「え……あ……な……」

 全身が硬直し、唇が小刻みに震えた。ノラの目の焦りの色合いが、より濃くなっていくのがわかった。

 頭の中で、ごめんな、ノラ、と謝罪した。

そして俺は、流され行くままに、ゆっくりと後ろ向きに倒れていこうとしていた。

が、その時。

「って、こらああああああああああああああああ!」

 耳をつんざくノラの大声が聞こえた。それは今まで聞いたどの声よりもドスがきいていて、俺の腹にズンと響いた。まるで鼓膜が反り返るような衝撃だった。

 薄れゆく意識がぐいと現実に引き戻され、俺は足の力を踏ん張って倒れることをぎりぎりで阻止した。

「何固まっとんねん!しゃんとせえ!家族も見てんねんで!次、腑抜けた顔してみい!いてまうど、このボケがあ!」

 一瞬、まるで時間が止まったように、会場が静まり返った。皆何が起こったのか理解できていないようだった。誰もがぽかんと口を開け、豹変したノラを呆気にとられて見ていた。

 あっ、とノラが我に返った。しまった、といった感じで、その手を口元に持っていった。そして同時に、その顔色をみるみる青ざめさせていった。地を出すなという、団長の言葉を破ってしまったのだ。

 どうする、と俺の中で考えが巡る。

 どうすればこの急場を凌げるだろうか。

 もはや観客のことなどどこかに行ってしまった。ノラが滅茶苦茶に困っている。しかも元はと言えば俺のせいだ。俺がへたれたところを見せたからだ。いや自責に悶絶するのは後だ。とにかく、なんとか漫才を立て直さなくてはならない。

 瞬間、ひとつの閃きがよぎる。

「そ、そんなに言うんなら、変わってくれよ」

 と俺は口にして、必死の形相で目でサインを送る。さすがに賢しいノラは、瞬時にして俺の意図を悟ったようで、はっとする。

「……ええやろ。ほなあたしが患者やるわ。自分は医者やってみい」

「じゃ、やってみましょうか」

 俺はひとつ咳払いをして、仕切りなおす。

「今日はいかがなさいました?」

「なんか、三日くらい前から、足が痛んでしゃあないんです」

「そうですか。一体だれにローキックくらったんですか」

「いや、くらってへんわ。なんでいきなりそこから疑うん」

 ガチャガチャと、頭の中でネタを再構成していく。本来この後やるはずだったネタを、ボケ、ツッコミ、逆にしていく。逆にしただけでは不自然なものは、自然なように切り替える。これまで何百回と練習してきたのだ。互いの台詞は一言一句覚えている。

「他に何か症状ございますか?」

「あと、昨日ちょっと眩暈がしましてん。くらっとして、道端で膝から倒れ込んでしもたんです」

「ほう。ダウンを奪われたわけですね」

「だから、格闘技方面から離れてもらえへんか。そないゴツないやろ。この通り華奢や」

「たしかに、身長百五十七センチで体重四十二キロだと、格闘技するにはちょっと物足りないですね」

「なんであんた、そないなこと知っとんの!いやや!犯罪の匂いがするわ!」

 漫才のテンポが戻った。しかし俺の動悸はいまだ続いている。発作と不穏の火種はくすぶり続けているのだ。油断はできない。

「他に症状ございますか?」

「なんや最近、肩が重くてこってしまうんです」

 俺はノラの肩に目をやる。

「あー……やば……」

 そして俺は手を合わせ、小声でぶつぶつ呪文を唱える。

「はい、もう大丈夫」

「全然大丈夫ちゃうやろ!なんか見えとります、ねえ?あたしの肩になんか憑いてますの?」

「他にはございますか?」

「え、他に?他には……」

「ほうほう、足が臭い、と」

「いや、言うてへん言うてへん。え?そない臭います?」

 俺は鼻をつまむ。

「いえいえ全然臭ってないですよ」

「うわ臭っとるんや。ショックやわ。乙女失格やん」

 発作と隣り合わせの、糸の上を渡るような余裕がない中でも、ノラのクルクル変化する表情を見て、何だか暖かい気持ちになった。まるで本当に困っていたり、呆れたり、怒っていたりするように見えるのだ。いつもの澄まし顔の、綺麗だけど底が知れないような雰囲気とは違って、その気持ちがダイレクトに表に出ていた。いつぞやノラが、俺のボケの側面を見られてよかったと言っていたけれど、こういうことかと思った。役割の変化で、その人間の別の側面が見えてくる。こんな風にして、時間をかけてノラのいろんな所を知っていきたいなと、ぼんやりと思った。

 全体的な出来としては最悪なことはわかっていた。思いつきでダブルボケの体裁はとったが、変化が唐突だし、テンポは一貫してないし、揚句前半はほとんど俺が夢遊の中で演じていたようなものである。評価などもはや望むべくもないと思ったが、それでも俺は、このまま舞台の上でずっとノラと漫才を続けたいと思った。ノラと一緒に舞台で演ずるということが、やっぱり俺にとっての喜びなのだ。

 ネタは終局に近づいていた。ふたたび動悸が激しくなり、意識がゆらゆらと行ったり来たりした。俺は全霊の力を足に込めて、踏みとどまるよう堪えた。

「はい、こちら処方箋と、あとこちら、当院のポイントカードになります」

「ポイントカード?」

「はい。百ポイントごとに三千円割り引かせていただきます。本日は足の痛みで二ポイント、眩暈で三ポイント、肩こりで一ポイント、あと足の臭いで二十ポイント付けさせていただきました」

「え、そない臭い強烈なん?」

「ちなみに一万ポイント貯まると、当院のプラチナ患者にランクアップいたします」

「なりたない!そないなプラチナごめんやわ!もうええ。帰らせてもらうわ」

「あ、じゃあお帰りは車でお送りいたします」

「そないなサービスがあるんですか、病院で。ほなお言葉に甘えて」

「では少々お待ちください。今救急車手配しますんで」

「あかんやろ!もうええわ!」

「「どうも、ありがとうございました」」

 そして俺たちは、深々と頭を下げた。綺麗に磨かれた真っ白な床が見えた。そしてその上に、頬から伝った汗が一滴落ちた。どうにかこうにか、やり切ったのだ。客席からの、拍手の音が聞こえた。それは遠くから聞こえる山びこのように、現実感がなかった。

 退場して舞台袖に戻ると、スタッフから「お疲れ様でした」の声をかけられた。すると同時に、張り詰めていた糸が切れたかのように、全身から力がクタリと抜けた。そして意識が遠のき、ユラユラと世界が揺らぎ、俺はゆっくりと前のめりに倒れていった。

 

目が覚めると、そこにはいつぞや見たのと同じような、白い天井が目の前にあった。視界の端に、枕元の点滴台が映った。

「……また病院?」

 今回はさして混乱もなかった。倒れる直前の記憶がざっと蘇り、自分が今どういう状況にあるのかすぐに把握した。

「お目覚めでしょうか?」

 左に少し目をやると、ノラが椅子に座ってこちらを覗き込んでいた。

「ああ、ノラ……。俺、またやらかしちゃったのか」

「ええ、やらかしちゃったのでございます。でもお客様の眼前では堂々としておられました。舞台袖に引き上げてから、倒れたのでございます」

「そっか……。あ、そんで、結果は?」

 ノラが眉を曲げて、でも少し微笑む。

「失格にございます」

「え?し、失格?」

 ノラがうなずく。

「タイムオーバーです。ボケとツッコミの転換で仕切り直した分、四分の制限時間を超過してしまったのです」

「そっか……」

 俺はひとつ大きなため息をついて、天井を見上げる。

「さくらに何て言おう。優勝するとか言っといてこんな結果で、会わせる顔がねえな」

 ノラがにこりと笑って、向かいに目をやった。俺も同じ方向に目を向けると、そこには車椅子に乗ったさくらとその後ろに立っている両親の姿があった。俺は驚いて、二度見してしまった。

「おい!さくらお前、なんでこんなとこ――」

「兄ちゃあああああん!」

 さくらが俺に飛びついてきて、割れんばかりの大声でわんわんと泣いた。さくらが声を上げるたびに、胸の奥がじりじりと響いて揺れた。

「おいおい、泣くほどのこっちゃないだろ」

 俺はノラに目をやる。

「どういうこと、これ?」

「あの後、さくらちゃんから明治様の携帯電話に電話がありまして。わたくしが出まして、こちらの場所をお伝えしました」

 さくらが涙を手の甲で拭きながら顔を上げる。

「ありがとう、兄ちゃん。格好よかったよ」

「お、おお」

 相変わらず俺は、褒められるとどう返したらいいのかわからない。

「こんなん、兄ちゃんにかかりゃ朝飯前だ。どってことねえよ」

「そんな強がり。病院にまで担ぎ込まれてるくせに」

 さくらがくすりと笑う。

「まあそう言うなよ」

 そして俺は、さくらの頭にポンと手を乗せた。

 さくらのその向こうにいる、両親が目に入った。俺も両親もお互いに、少しばつが悪い感じだ。母さんが、何かを言いたげに、もぞもぞと体を動かしている。

「その……お笑いのこととかは、あまりよくわからないんだけど……すごく、頑張ったのね、明治」

「たまには……」

 父さんが口ごもりながらも、口を開く。

「たまには家に、帰ってこいよ」

「父さん……」

 なんだかうまく言葉が出てこなかった。

「……うん。そのうちまた、顔出すよ」

 ピリピリと着信を知らせる音が鳴った。ノラが俺の鞄の中から携帯電話を取り出し、ディスプレイ画面を見た。

「団長様にございます」

 ノラが俺に携帯電話を手渡した。

「もしもし」

「おう、明治。やったじゃねえか。俺感動して泣いちゃったよ」

「団長……」

「だって俺の青春が詰まったあの思い出のスーツが、テレビ放送で流れて日の目を見るなんてな。涙なしには語れねえ」

「え、そこですか」

「さておき、継ぎはぎだらけだったけど、やり切ったな。インパクトはあったぜ。団長としてお前を誇りに思うよ、割とマジにな。タイムオーバーさえなけりゃ、面白い結果になったかもわかんねえけど。でもどっちにしろまだまだ修練が必要なのは事実だな。精進しろよ」

「わかってます」

「あと、放送の後にいくつかオファーが舞い込んだ。やっぱテレビはダテじゃねえな。これからは、今までよりほんのちょっとだけ忙しくなるかもな。覚悟しとけよ」

「団長、あの、ありがとうございました、いろいろと。ご心配もかけまして」

「あん?感謝するならもちっとビッグになってからにしろよ。お前はまだこわっぱ。当分は世話焼かせてもらうぜ。じゃあな」

 そして通話が切れた。

 ノラに電話を返そうとしたその時、ふたたび着信音が鳴った。俺とノラは顔を見合わせた。画面を見ると、表示圏外と表示されていた。なんだかだいたいパターンは読めているものの、俺は通話ボタンを押した。

「もしもし」

「ヨオ明治。優勝オメデトウ。元相方トシテ嬉シク思ウゼ。イヤ会場抱腹絶倒ダッタジャン、見テネエケド」

 電話を持つ俺の手がプルプルと震える。

「アレ、ドシタ、明治?今回ハ優勝シタパターンデ、カケテミタンダケド」

「うっせえ!失格だったよ、ちきしょうめ!見てろよ!来年はぜってえ優勝してやる!そしたら賞金でそっち行って豪遊してやっからな!待ってろよ、馬鹿野郎!」

 パナモが電話の向こうでゲラゲラ笑う。

「待ッテルゼ、本当二」

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