第17話008「封印」
「ハーフエルフの⋯⋯魔術?」
「ふむ。ハーフエルフの固有魔術(ユニーク・マギ)か」
「ああ」
「お父様⋯⋯固有魔術(ユニーク・マギ)って何ですか?」
「固有魔術(ユニーク・マギ)⋯⋯各種族が持つ自分たちだけのオリジナルの魔術だ」
「ハーフエルフの固有魔術(ユニーク・マギ)? そ、そんなもの⋯⋯人間のハヤトが使えるなんて可能なの?」
ここでハヤトがティアラの質問に回答する。
「本来は使えないようだが、俺は魔王クラウスとの『融合』のおかげで例外らしい」
「へー」
「なるほど。しかし、ハヤト⋯⋯ハーフエルフの固有魔術(ユニーク・マギ)は魔力消費が激し過ぎると聞く。人間の魔力で扱うのは無理ではないのか?」
「ああ。クラウスの力が封印された今の状態では無理だ。だから、ハーフエルフの魔術は実質現状は使えないとも言える」
「なるほど。では話を整理すると⋯⋯ハヤトは今、修行で身につけたものは何も使えないという認識でいいのかな?」
「いや。師匠はこういう状態になるのがわかっていたらしく、三年目のつい最近までは人間が魔術を使う時に必要な『属性魔力の使い方』や『人間が使う魔術』について少しは教えてもらったが⋯⋯途中で逃げたからな」
「⋯⋯なるほど。では、現状の魔力レベルや属性とかはわかるかい?」
「師匠の見立てだと『下級魔術士(ジュニアクラス)』で属性は『風』と言ってたな」
「⋯⋯下級魔術士(ジュニアクラス)。これまた、魔王クラウスの力が封印されているとはいえ極端だな」
「まあ、あとは学院で魔術を習って何とかするつもりだ」
「そうか⋯⋯」
オリヴァーは少し『腑に落ちない』という顔をしていたがここでは敢えてハヤトに何も聞かなかった。
「そ、そんな⋯⋯せっかく魔王クラウスの力とかハーフエルフの魔術を身につけたのに⋯⋯」
「まあ、何とかなる」
「大丈夫よ、ハヤト! ハヤトは私が守るから!」
「⋯⋯ありがとう、ティアラ」
二人のやり取りを見ているオリヴァーの顔は相変わらず腑に落ちない表情のままだった。
「あ! そうだ、ハヤト! ところで、あんたなんで国王様とあんなに親しかったのよ!」
「何? 国王様と?」
「え? お父様も知らなかったの?」
ということで、ティアラがオリヴァーに入学式のことを説明する。
「まったく⋯⋯。国王様もハヤトをそんな派手に目立たせるなんて」
オリヴァーが頭を抱え込む。
「それでハヤト⋯⋯国王様とはどういうきっかけで知り合ったんだ?」
オリヴァーが気を取り直して話を始める。
「去年くらいに師匠と買い出しに町に降りた時にたまたま魔物に襲われている馬車を見つけてな。そこでジャンを助けたんだよ」
「ジャ、ジャンっ⋯⋯?! ハヤト。その言い方はさすがに⋯⋯」
「あいつがそう言うようにしろって言ったんだ」
「いや、まあ、う〜ん⋯⋯ワザとなのか? 何とも判断できないところだが⋯⋯まあ、とりあえず公の場ではせめて『国王様』と言うようにしなさい。私から国王様にそう伝えておくから」
「わかった」
オリヴァーが『やれやれ』といった様子でため息をつく。
「さて、それじゃあ話はこの辺にして夕食にしようか」
「賛成ー!」
「久しぶりのマトモな食事か⋯⋯。楽しみだ」
こうして、入学式初日の全日程が終了した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます