第16話007「自宅にて」
「「ただいまー」」
ハヤトとティアラは学校から家に戻ってきた。
「おかえりなさいませ、ティアラ様、ハヤト様」
「お父様は?」
「はい。先ほど到着されて居間のほうにおられます」
メイドに案内され、二人は居間へと移動する。
「ただいま、お父様」
「ただいま戻りました」
「おかえり、ティアラ、そして⋯⋯ハヤト」
あの三年前の一件から久しぶりの三人の対面であった。
「ハヤト、よくお師匠様の『結界』から戻ってこれたね。説得したのかい?」
「いや、クソババア⋯⋯師匠には説得は通用しないので自力で抜け出してきた」
「じ、自力で?! あの⋯⋯結界を、かい?」
「??⋯⋯ああ」
「そ、それは、何とも⋯⋯すごいな」
そう言ってオリヴァーは苦笑いを浮かべる。すると、
「ハヤト!」
「ん? 何だ?」
ティアラが机を叩きながら立ち上がりハヤトに進言する。
「聞きたい事が山のようにあるのだけど!」
「何だ? 何が聞きたいんだ?」
「まずは⋯⋯あんた少し口調とか雰囲気が変わったのは『魔王クラウスと融合したから』て言っていたわよね。そのことについて詳しく教えて!」
「ああ、その話か」
「私もその辺の話は全く知らない⋯⋯教えてくれ、ハヤト」
ティアラとオリヴァーが身を乗り出すように聞いてくる。
「そうだな⋯⋯まず、三年前の師匠との出会いからの話になるが⋯⋯長くなるがいいか?」
「「合点承知!」」
ハヤトは淡々と三年前の師匠との話を始めた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「オリヴァーさ⋯⋯父さんに連れられて、師匠の『結界』のところで師匠に拉致された後の話なんだが⋯⋯」
「拉致って⋯⋯まあ、間違ってはいないが」
「本当、何なのこの師匠っ?! 師匠のことについても詳しく教えてよね、ハヤト!」
「ああ、わかった。とりあえず話を進めるぞ? まず⋯⋯結界の中に入ってすぐに師匠は『クラウスとの融合』を始めた」
「すぐに融合を始めたのか?! さすがお師匠様だ⋯⋯」
「結果、融合は成功したんだが、その時、師匠が『今の世界でクラウスの力を使うといろいろとマズイことになるからこの力は一旦、妾が封印する』と言って師匠は俺の中にある魔王クラウスの力をハーフエルフの封印魔術で封印した」
「ど、どうして魔王クラウスの力を使うとマズイの?」
「前に父さんが話してただろ? 今でも魔族討伐隊は存在するって。要するに命を狙われるってことだ」
「あ、そっか⋯⋯」
ティアラは三年前の話を少しずつ思い出す。
「ちなみに、その融合のおかげで師匠曰く『態度のデカいその口調は魔王クラウスの名残りだろう』と言っていた。俺自身は特に変わった感じはないんだが、師匠が『口調や雰囲気が魔王クラウス寄りじゃな』て言ってたから、たぶん、ティアラが口調が変わったというのはそういうことだと思うぞ。まあ、でも、それ以外は昔の俺だから」
「うん、わかった」
「確かにハヤトの口調や雰囲気はだいぶ『魔王クラウス寄り』になっているな。三年前を思い出すようで懐かしささえ感じるよ」
「まあ、そんな感じで融合した後は、その力をうまく引き出せるような修行をしていた。あと、同時並行でハーフエルフの魔術も修行していたな」
「ハーフエルフの⋯⋯魔術?」
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