第13話004「調子に乗るなよ?」



「それにしても、ここはエライ広いな」


 入学式会場から出た後、俺はティアラを探そうと学院内をウロウロしていた。


「おい、そこの乱入男!」


 すると、後ろから三人の男に声をかけられる。


「俺の名前はハヤトだ」

「いや、別に『乱入男』って名前で呼んだんじゃねーよ!」

「む、そうだったのか。で、なんだ?」

「入学式早々、何、調子に乗ってんだ、ああ?!」

「調子に⋯⋯乗る?」

「そうだ、そうだ! あんな派手な登場しやがって!」

「派手な⋯⋯登場?」

「まったくだ! ちょっとカッコよかったぞー!」

「そうか」

「だぁぁぁ〜! うるせえぇぇ〜お前ら〜〜〜!!」


 真ん中の男が両端の二人の頭をポコンポコン殴った。


「お、お前ら黙ってろ! いろいろとダメになるから!」

「「す、すんましぇ〜ん」」


 シュンとする両端の二人。


「と、とにかく! 今後はくれぐれもあまり調子に乗らないようにするんだな!」

「なぜだ?」

「え? いや、なぜ⋯⋯て。調子に乗って目立つようなことしたらいろいろと目をつけられるだろ!」

「目をつけられるとどうなるんだ?」

「何かと敵ができちゃうだろ!」

「なるほど。それは困るな」

「何だよ、そんなことも知らないのかよ!」

「すまんな」

「は〜⋯⋯ま、いいか〜。とにかくだな〜、あまり目立つことはすんなよ、いいな!」

「ああ、わかった。それにしてもお前⋯⋯優しいな」

「へ?」

「お前は良い奴だ」

「え? あ、いや⋯⋯それほどでも⋯⋯」

「俺の名はハヤト・ヴァンデラス! お前は?」

「え? あ、えーと⋯⋯ライオット・シャゼルバイゼンだ」

「ライオットか。良い名前じゃないか」

「そ、そう?」

「なんか困った事があったらいつでも俺を頼ってくれ」

「え? あ、いや、その⋯⋯あれ? 何でそんな話になって⋯⋯」

「コラー! そこの乱入男ーーっ!!」

「!!」


 今度もまた後ろから声をかけられた。


 声の方に振り返ると、そこには真っ赤な綺麗な髪の少女が『仁王立ち』していた。


「なんだ、お前は?」

「私のこと覚えてないの?」

「何? う〜む⋯⋯」


 俺は顔を近づけ、確認する。


「!! も、もしかして⋯⋯ティアラか?」

「気づくのが⋯⋯⋯⋯遅いっ!」


 そう言って、ティアラがいきなり右拳を突き出す。


 俺はその拳を躱(かわ)すと同時にティアラに近づき抱き締める。


「会いたかったぞ、ティアラ」

「ちょ!? ハ、ハヤ⋯⋯」

「「「!!!!!!!!!!!!」」」


 後ろにいた三人が何かざわついていたが、俺は気にせずティアラを抱き締める。


「ただいま」

「お、おおおお、おかえり⋯⋯な⋯⋯さい」


 三年ぶりに会ったティアラは綺麗になっていた。


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