第16話

 高校3年、俺らの周りは何かとバタバタしていたが、俺達4人は就職組で何も変わらずのほほんと過ごしていた。

相変わらずルイは隣の席に座っていて、ミカとジョーは最近やたらと仲がいい。あいつらこないだヤッたからな。(笑)

 あの日、ジョーの家で4人で飲んだ日。酔っ払った俺たちは、最高だった。ジョーはミカを家におくったまま帰ってこなかった。その時にミカの家であの2人はセックスした。

俺は、ルイとキスをした。だけど、ルイは多分覚えていない。何度もしたのに。

次の日は学校が休みだった俺たちは、ジョーの家で目が覚めた。起きたらルイが部屋の中を片付けていた。

「おはよ」

「おはよ」

「片付けてくれたの?」

「うん、ぐちゃぐちゃだったw」

「ありがと」

「ジョーがいない」

「え?まじ?帰ってきてねーのかよ」

「どっかいったの?」

「うん、ミカ送ってったじゃん」

「ジョーが?」

「うん、覚えてねえの?」

「えええ。全然覚えてないいい」

「まじかよ」

「まじだよ」

「なんにも?」

「うん、多分なんにも」

「なんだ」

「え?なんだって?なに?」

「いや、いや、。ジョーなにしてんだろ」

「ほんとだよぉ。なにやってんのほんと」

「ミカと一緒にいんのかな」

「っえ。それって、、、」

「「まじか」」

声がそろった。

「帰ろうか」

「うん。ルイ送るよ」

「ああ、うん」

そう言ってルイは笑った。

自転車に乗り、ルイが後ろに乗りゆっくりとペダルを漕いだ。ルイが背中に顔を寄せた。「ねーむーたーい」

そうやってルイは俺をまたドキドキさせる。



 「ジョー、今から行くね」

「おう、気―つけてな」

仕事が終わってジョーのお店に向かう。

「よっ」

「おう、ルイ」

「え、タロウも来てたんだ」

「さっき来た」

こないだ会ったばっかりだったのに、もう久しぶりな感じがした。タロウの横のカウンターに座る。(この店にはカウンターが10席くらいしかない)

「ルイはいつものでいい?」

「ああ、うん」

いつもここに来たら、ハートランドを飲む。

ジョーはいろんなカクテルが作れるらしいけど、いつも簡単なものしか飲んでない。だって、甘い系は苦手だもん。

「タロウ、明日仕事?」

「ううん、明日は休み」

「よっしゃ、じゃあ今日は飲みましょうタロウ。私も明日休みなので」

「タロウ、無視しろ。こいつまじで朝まで付き合わされるぜ」

「いや、いいよ。ルイ飲むぜ」

「さすがタロウ」

「俺は付き合わねーからな」

「別にジョーは誘ってないもんね」

「ああそうですかー俺は邪魔ですかー」

「邪魔です邪魔ですー」

「うるせ。あんま迷惑かけんなよwwこないだみたいにww」

と言って向こうに座っている女の子の方に行った。楽しそうに話してる。多分常連の子。

「こないだなにかやらかしたの?」

「やらかしたってほどではないけどな」

「まだ酔っ払ったら記憶なくす?」

「うん、ないね。いっつも全く覚えてない」

「あぶねーー」

「大丈夫って!なんもしないしー」

「ほんとかよ」

「ほんとほんと。しないしない」

「でも覚えてないだけかもじゃん」

「う~ん、、、。そんなことないし」

「じゃあいいけど。危険な女だな」

「なんだそれ~ww」

仕事の愚痴とか、嫌いな先輩の話とか、スーツが疲れるとか、たくさん話した。結構飲んで、ハートランドからハイボールに変えた。

ハイボールは、ハーパーがお気に入り。タロウは「渋っ」って言ってた。

ジョーがたまにこっちに来て少し3人で話して、また向こうに行く。

「タロウはさ、2年間こっちでどうしてた?友達いなかったでしょ?大変だった?」

お酒の力を少し借りてタロウに聞いた。

「大変だったよ。土地勘もないし、知り合いもいないしさ、毎日迷ってた。家に帰りつくのも一苦労でさ、電車なんて乗ったらびっくりするくらい人も多いし、線も多くて全然行きたいところ辿り着かねえの」

「っぷ。タロウがキョロキョロしてるの想像したww」

「でもさーまじできつかったよ。誰とも連絡とらんで頑張ったもん」

「誰ともとらなかったの?」

「うん、ほとんど地元の奴とはとらなかった」

「だれとも、、か」

「ごめんな」

「っへへ。今はもう、そんな、、いいよ」

「ルイ、たまに連絡くれてたのに」

「ああ、うん。心配だったんだよ、一応」

「ごめん、、」

「いい、いい!全然!気にしてない!」

「ほんと。ならよかった」

気にしてないわけ、、、ないじゃん。タロウのバカ。

「ルイは?元気だった?仕事頑張ってたよね?アパレル」

「うん、頑張ってた。仕事だけをめっちゃ頑張ってたよ。ミカもね、あの後連絡取れなくなってさ、、、。私とジョー2人取り残された感じだったよwwまじでwww」

ちゃんと笑ってたかな?この時。

ちょうどジョーがこっちに来た。

「そうだよ、その時ミカも連絡取れなくなって俺ら泣いたよな~ルイ」

「うん、2人で何日も落ち込んだよねww」

「そうそう。お前、めっちゃ凹んでたww」

「ジョーは結局タロウと連絡とってたじゃん!!でも私は、タロウもミカも一気に2人もいなくなったんだからね」

「だってさ、こいつが言うなって言うから」

「ルイ、ごめんって」

タロウがそう言って頭を撫でた。

「俺、ちょっとトイレ」

と言ってタロウは立ち上がった。

「ねえ、ジョー。タロウって頭撫でるタイプだった?」

「いや。あいつこっちきて成長してんなぁ」

「ドキドキしたんだけど」

「っぷ。きもいぞww」

「でも俺、今も思うけど、よくルイに言わなかったよな~タロウのこと」

「ほんとだよ。知らんぷりしてたくせに」

「ごめんって~」


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