第15話

 俺はふらふらなミカを家まで送っている。

「ジョー?」

「ん?」

「おんぶしてよ」

「やだよ」

「してよぉ」

「やだっつーの」

「じゃあ、手繋ぐのはー?」

「繋ぎてえの?」

「うん!繋ぎたいよ」

と言うミカが可愛く見え、綺麗だと思った。

俺はミカの手をとって強く握った。

「え、ジョー、痛いよぉ」

「繋ぎたいっつったじゃん」

「うん。このままでいい」

俺らは2人でゆっくりと歩いた。手を繋いだまま。

ミカはふらふらするけど手は離さなかった。たまに立ち止まったりもしたが、手は離さなかった。

信号待ちの時、車通りもほとんどなかった。俺はミカにキスをした。


 

そして、今は隣でルイが寝ている。というか寝かせた。

俺はそのルイを見ながら煙草を吸う。2本目。

俺はそのまま起きてて時間になったらルイを起こした。ルイは顔を洗って目をこする。

「今日、行きたくないなぁ」

「休んじゃえよ」

「そうだな~・・。行ってこよっと」

「なんだよそれ」

「ジョー、ありがとよ」

「おう」

「昨日ってさ、私、、、」

「ん?なに?」

「ま、いいや!いってくるー」

「おう、いってら」

ルイが言いかけたことは、わかる。多分タロウのことだ。まだすきなんだろお前も。

ルイが俺の家を出たのは朝の10時だった。

俺は、ルイがまだタロウのことが好きなことをずっと知ってる。ルイの口から1度も聞いたことがないが、俺はずっとルイのそばにいた。そのくらいわかる。想い合ってる2人を俺はいつも見ている。見ているだけだった。

俺は昼前に眠りについた。

 

 

ジョーの家を出て急いで家に帰った。二日酔いで少し気持ち悪かったがシャワーを浴びて、化粧をして髪の毛をくるくる巻いて家を出た。時間があったから近くのカフェに寄ってコーヒーを頼み、職場に向かった。途中でタロウを見かけた。スーツ姿のタロウ。声はかけなかった。後ろ姿をただ見てた。

都会の人はみんな速足で、タロウもそれに慣れっこになってるみたいに速足だった。私はまだこの速さに慣れきれないでいた。私の兄も、そしてジョーも。

二日酔いでいつも以上に疲れて、今日もとぼとぼと歩いて帰る。

「ルイ?」

歩くのをやめ、後ろを振り向く。

「あ、タロウ」

「今、仕事帰り?」

「うん、仕事帰り」

「めちゃくちゃ疲れてんね」

「ちょっと疲れた」

「家まで送ろうか?」

「え、いいよ大丈夫」

「いや、送る。コーヒーのむ?」

「あ、いいねー」

タロウと今日の朝も寄ったカフェに行ってコーヒーを頼んだ。

「ルイ、コーヒー飲めるようになったんだ」

「そうだよ。眠らないようにね」

「理由、変すぎ」

「でもめっちゃすきなったんだよ」

「っはは。そうなんだ」

「コーヒーメーカーとか買ったからね」

「え、まじ?めっちゃ好きじゃん」

「ちゃんと、淹れれるからね」

「今度飲ませてよ」

「いいよ、いつでも」

「やった」

タロウと久しぶりに話してる。久しぶりに並んで歩いてる。

「今日の朝ね、タロウのこと見たよ」

「まじ?声かけてよ」

「見てたらどっか行っちゃった」

「そんな見るなよww」

「スーツのタロウがまだ慣れないもん」

「ええ、見慣れてよ」

「じゃあ、また会わなきゃな~」

「また会おう」

タロウが急にこっちを見た。

「ルイ、彼氏できた?」

「え?彼氏?」

「うん」

「いないよ」

「そっかww」

「タロウは?」

「いないいない」

「いないんだ」

「うん。また会おう」

「うん」

タロウは家まで送ってくれた。帰りにバイバイと言うのが少し寂しかった。でも、いっぱい話した。すごく懐かしくて、すごく落ち着いた気がする。

家に着いソファに座ると、いろんなことを思い出した。そして、タロウへの気持ちもまた懐かしいと、思い出した。


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