第11話
ルイが俺の肩に隠れる。
病院の後からルイはずっと俺から離れなかった。お通夜もお葬式も俺はそこにいた。
葬儀の日、ミカもイクミもサヤカもきた。タロウも。
そしてタロウがこっちに来た。俺はタロウがルイに告白したことを知っていたし、その場を離れようとした。
「ルイ?」
俺の後ろに隠れた。
「ルイ、タロウきてるよ」
「いいよ、ジョー」
タロウは「またな」と言ってみんなのところに戻っていった。
ルイが後ろからその後ろ姿をじっと見ていたのが、どういうことなのかわかった気がした。
俺は、こんなに近くにいた2人の気持ちを全く気付かなかった。近すぎて気づけなかった。
その後もルイは俺の横にいたけど、ルイの目線は時々あいつを追っていた。
葬儀の時、1回も泣かなかった。
その時は利久くんが泣いていて、ルイは利久君の手を握っていた。この2人の家族は、なんでいつも苦しい思いをさせるのか、なんで2人をこうも強くさせていくのだろう。
俺は、ルイの母親が許せなかった。俺を理由で喧嘩をしたからではない、それまでも、これからもルイと利久君のことを守ることが出来ないし支えられない、そして、2人がそれを許すことを許さない母親がすごく憎いと思った。
葬儀が終わった後、利久君は身内の人やいろんな大人と話していたり、挨拶をしたりしてた。
その間ルイは母親の横に座っていた。泣かないで。
次の日、ルイは学校に行かないだろうと思って俺も学校をさぼってルイの家に行った。
利久君もいて、ルイの部屋に行く前にリビングで話してた。
「ジョー、ありがとな」
「え?なにが」
「いや、いろいろとさ」
「いや、なにもしてないよ俺」
「あとさ、本当にごめんな、母ちゃんがなんかあんなんで」
「なんで利久君が謝んの?」
「もう謝らなきゃいけねえ人がいねえじゃん」
「、、、ああ、そんな、、別に」
「あともう1つ、ルイを頼むな」
「それは当たり前だよ」
「さんきゅ」
「うん」
「あ、お前の母ちゃんさ、俺らの母ちゃんと知り合いだったらしい」
「それ聞いたよ。学生の時のバイト先で仲良かったって」
「でもずっと前に連絡とかもなくなってたって。俺らの母ちゃん友達とか知り合いとか全部縁切ってたみたいだったから、それで」
「そうなんだ、なんか色々あったんだだろうなー利久君たちの母ちゃん」
「そだな」
「ルイの部屋行くね」
「おう、たのんだ」
利久君んが明るく笑ってみせたけど、心の中がすげえ泣いてる気がした。
「ルイおはよ」
「っお、ジョー」
ルイが手を挙げて言った。
「私ね、案外大丈夫なんだよ」
「なにが?」
「心配で来たんでしょ」
「うん」
「座ってよ」
「あ、うん」
俺が座るとルイは隣にきて座った。
「ジョーはずっと親友でいよーね」
「うん、なんだよ急に」
「なーんとなく。私のことはお見通しでしょ?ずっと見通しててよ」
「なんだそれ」
「ジョー、私寝てないんだ。手の平かしてよ」
と言って俺の手を上に向けて顔をのせた。
よく見たらすごいクマだった。
「寝ろ」
ルイの寝顔を見ながら俺は泣いた。
俺は家族がいて、大切に育てられてて、なんでこんな差があんのか、なにがこうさせるのか、なんでこいつがこんな思いをしなきゃいけないのか、とか色々考えた。
もう片方の手で携帯を触る。イヤフォンをさして音楽を流す。ぼーっとしてた。
いつの間にか時間が経ちすぎていて、俺も眠っていた。
利久君が部屋に来て「飯食っていけよ」と言ったので、ルイを起こしてリビングに行った。
テレビはついてたけど静かに感じた。
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