第6話

 2杯目のビールを頼む。

「俺、海外に行こうかなって思ってんだ」

「はああ?まじ?」

「うん、なんか、毎日が同じで毎日がつまんねえから」

「だめ」

「いきてえ」

「じゃあルイも行こうよ」

「行かない」

「絶対なんか見つけれるぜ」

「見つけれないよ」

「やりたいことできるぜ」

「できないよ」

「いい男いるかもしれないぜ」

「いないよ」

「英語話せるようになるぜ」

「あ、それはいいな」

「しかも、英語覚えてさ、英語の歌詞の歌とか歌えるようになるぜ」

「え、いいね、いいね。それいいね、」

「ねえ、待て。ルイが惹かれたのそれ?」

「それって?」

「英語の歌詞歌えるとこ?」

「え、だめ?」

「いや、だめじゃないよ、全然」

「でしょ」

「けど、そこなの?」

「いいね、海外ってのも」

ビールが2つテーブルに置かれた。

「ルイ、ほんとに言ってんの」

「まあまあくらい」

「そうか、わかった、考えといてよ」

「うん、考える」

「あ、てかさ、お前最近タロウと会ってる?」

「あーーうん、たまにね」

昨日会ったばっかりだった。

最近、頻繁に会ってる。けど、たまにと言った。


 明日は文化祭だ。

私達のクラスはポップコーン屋さんをする。準備はたいしてすることもなく、私とタロウは看板づくりの係で、放課後の何日かで終わっていた。イクミは同じクラスなのに彼氏とばっかりで最近は全然見てもいない。ジョーとミカのクラスは結構盛り上がってて仮装スタジオの準備で毎日大変そう。今日も昼休みと放課後はタロウと2人だった。

2人でいると、なんか少し落ち着く私がいた。

今日も昼休みにタロウと自販機にジュースを買いに行く。

階段を下りながらタロウが聞く。

「ルイってさ、好きな人いる?」

「え、好きな人?」

「うん」

「う~ん、いないかな」

「いないんだ」

「うん、タロウは?」

「いるよ」

「え!いるの?」

「うん」

「誰?」

「教えないよ」

「教えてよ」

「嫌だよ」

「嫌じゃないよ」

「じゃあ、、、」今度教える。と言おうとした時に、ルイは自販機にいるジョーを見つけた。

「あれ、絶対ジョーだ」

と言って走っていった。それをタロウはゆっくり追いかけた。

ジョーは後ろにルイがいることに気づいておらずお金を入れた。ルイがボタンを押す。

「はああ?」

「やったあ。ジョーが早く押さないから」

「ルイ、ふざけんな」

ルイが逃げた。けどすぐに捕まった。ジョーは走るのが早いから。

ジョーはルイの首に腕を回してルイが謝るまで強く締める。タロウはそれを見ながらいつも「お前らは仲いいな」とつぶやく。今日はミカも同じことを言った。

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