第2話

 「もしもし」

「あ、もしもし、今いい?」

「うん、なに?」

「んん、なんかあったってわけでもないんだけどさ、」

「ええ?うん」

「なにもしてねえの、俺、最近」

「は?え、うん」

「で、なんか色々楽しくなくてさ、苦しくなる時ない?」

「楽しくないのはある」

「そうだろ、楽しくないんだよ、まじで」

「うん」

「それだけなんだけど」

「え?そういう電話?」

「そう、それだけなんだけどさ、誰かにきいてほそしいっていうか」

「あーなんか考えてんだ?会う?」

「うん、30分後いい?」

「うん、おっけい」

携帯をベッドに放り投げた。

 私は、たくさんの友達がいるわけじゃない。程よくしかいなくて、その中でも1番仲のいい奴がいて、そいつからの電話だった。

ジョーは高校の時からの友達で、親友ともいえるが、家族ともいえる。

 30分後と言われたが、私はだいたい10分遅れる。ジョーは先に座っていて、ビールを飲みながら、煙草を吸っている。

「よう」と言うと、「よう」と返ってくる。

1番最初に会った時からこの挨拶は変わらない。

遅かったなとか、また遅刻かよ、とかはジョーは言わない。

「ルイ、ビールでいい?」

「うん、おっきいの」

ジョーが店員に頼んでくれる。

「ルイ、腹減ってる?」

「うん」

適当に飯も頼んどいた、とジョーが言った。

2人で「おつかれ」と言い乾杯をして、ビールを喉に流し込む。

酒好きの私達がここのお店を見つけて2年、完全に‘‘海‘‘は行きつけになっている。

海があるぜ!って言ってジョーが見つけてきたお店だった。

それからよくこのお店には来るようになって、いつもジョーと会うのはここになった。

「ルイ、楽しくないって話しよう」

「うん」

「俺は、ずっとすきなことと、やりたいことをしてきたじゃん、そんで、やりたくないことと、嫌なことはすぐやめるって決めてんの」

「うん」

「で、俺、酒飲むの好きだったし、、バーで長くやってんじゃん。」

「うん、もう長くやってる」

「ずっとすきだったのに、楽しかったのに最近よくわかんねえの。楽しくねえの。」

「きついの?」

「きついとかじゃないんだ、楽しくないんだ」

いつもマイペースにゆっくりと話すジョー、今日はなんかいつもよりすらすら早口で話しているように感じた。

「ルイ、楽しい?ここんとこ」

私は楽しくないと答えた。

「何年も前は楽しかったよな」

「前っていつのことよ」

「ルイと会った時とか」

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