明日、変わればいいのに。

minamin.E

第1話


 明日、全部のことやめてみたい。

今日で全部やめたい。今日でなにもかも終わりにしたい。


 私はなにも不自由はない。

毎日を平凡に暮らしていて、1日が24時間であることに不満を持っていない。

ただ生きていてる。ただただ生きている。

昨日も今日も、多分明日も、ただ生きている。



~まもなく電車が参ります、お待ちのお客様は黄色い線より、、、~


電車は嫌いだ。人がたくさん乗ってくるから。

まぁ、人が乗ってこない電車なんて発車する意味ないか。

それより、今日はいつもより人が多い気がする。

いつもと同じ時間で、いつもと同じ車両に乗る。

私は一度も変えたことがなかった。

私と同じ、同じ時間に同じ車両に乗る人はもう顔を覚えてしまった。

今日も顔を覚えてしまっている3人の男女がいる。

1人は眼鏡をかけていてニキビが顔の大半にある26歳くらいのスーツを着た男の人。

学生時代はやんちゃしていそうな綺麗な顔で美人な身長の高い女の人。

もう1人は、髪の毛はいつも寝ぐせがついている。いつもだぼだぼのパンツを履いていて、いつも眠そうで、いつも同じにおいがする。

この人が来た時は、香りでわかるようになっていた。

この電車に乗るようになって半年くらいたったけど、この3人はいつからこの電車で、この時間で、この車両なんだろう。

 次の駅に止まり、また人が増えた。あの香りがすぐ近くに感じた。

人が多いせいかすごく奥まで押されてしまっていて後ろの人との近さが私の背筋を伸ばす。

次の駅で降りるのに、こんなに奥まで来てしまっていた。

~~駅、~~駅、次は~~駅に到着いたします~

「あ、あの降ります、すみません、降ります、すみません!」

何人もの人の間を押しつぶされながら前に進む。

降りられなかった。

道を開けようとしてくれた人も何人もいた。だけど、何人かはピクとも動かなかった。イヤフォンをつけているから私の声なんて聞こえなかったんだ。

私はため息を吐いた。そしてなぜか悲しくなって涙が出そうになった。


ただ、自分が降りる駅で降りられなかっただけだ。

だけどすごく悲しくなった。

ただそれだけなのに、なぜかすごく悲しい。

上を見上げた。

あの香りがすごく近くにある。


「泣いてるんですか」

すごく小さな声。

それにまだ涙は出していなかった。

「あ、いえ」

「あ、そうですよね」

次の駅まではすぐに着いた。

この駅で降りる人は多くて、座っていた人も多くが立ち上がり降りていく。

すごく降りたいのに、私は人々の隙間を遮って進むことができない。

ぐい。

腕を強く引っ張られた。私は少しよろけるもこの駅で降りることができた。

あの香りがすぐ近くに感じる。

「降りたかったですよね?」

私はなにも言っていない。

「はい」

「ですよね、さっき降りれなかったから」

男の人に腕を掴まれたのは3年ぶりだった。

3年前のあの時以来で、すごく心臓がばくばくした。

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