第29話 仕上げは上々、あとは……

「クローゼぇ、遅いねぇ……」

「あん? まだそんな経ってねーだろ?」

「もしかしてぇ、失敗して返り討ちにあったのかもねぇ……。フフフ……♪」

「不吉なこと言ってんじゃねーよ、一応仲間だぞ? ったく、普段より饒舌になったと思えばテメーは……」


 と、そこまで言いかけた時であった。こちらへと近づいてくる何者かの姿をチャモアの視線が捉えた。


「んん? ……――おう、クローゼ、こっちだ‼」


 遠目にもコチラに向かって近づいてくるクローゼの姿を確認すると同時にチャモアが大声で叫んだ。


「お待たせ、って、そんなに言うほど待たせてもないわよね?」

「おう、で、首尾の方はどうよ、俺の言った通り上手くいっただろ?」

「バッチリ♪ 余りにもトントン拍子に進むんで、正直拍子抜けしちゃった……。まさか、あんな手紙一つでコロッと騙されるなんて思わなかったわ……」

「だから言っただろうが。あんなガキ騙すのなんか訳ねーって……。オラ、そんなことよりとっとと出せよ」


 チャモアに急かされるまま、クローゼはローブの中から盗んできたリックの剣を取り出すとチャモアへと渡していく。


「へへ、やったぜ、ついに手に入れたぜ♪ これさえあれば俺だって……」


 スチャ。


 興奮した様子でそんなことを呟きつつチャモアが剣を抜いていく。


 と、


 パァアアアアアアアッ‼


「「「――――‼」」」


 鞘から剣が解き放たれるやいなや、眩いまでの赤い輝きとともにその刃を見つめていた三人が三人ともに息をのんだ……。


「ち――ちょっと、コレって……。す、凄いなんてもんじゃないわよっ⁉

「……ふわぁああ、すっごく、綺麗ぃ……♡」

「へ、へへへ、やっぱりだ……。俺の睨んだ通りだったぜ……。あ、あのガキの急成長ぶりはやはりこの剣が原因だったんだっ‼」


「ゴクッ……。で、でもでも、あの子……。い、一体どうやってこんな凄い剣、手に入れたのかしら? ひょっとして、コレってとんでもなくヤバイ奴らが絡んでたりするんじゃないの⁉」

「ケッ、そんなこと知ったことかよ。いずれにしても、これで俺たちも一気にトップチームの仲間入りだぜ♪ そうだ、ついでにこの最強の剣……。そうだな、今日からこの剣の名前をチャモア・ブレードと命名しようっ♪」

「だっさぁ……」


 そんなマルカの言葉すらも聞こえていないほどにチャモアは舞い上がっていた。


 と、チャモアは誇らしげに剣を空に向けて突き上げる構えをとると同時に、二人に言い放った。


「さぁ~~~て、これで準備は整った……。後はコイツの性能を確かめる意味でも一丁行ってみるとするかっ♪」

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