好きになれたら良いのに

「エッグヴィーナス・・・いや、 エッグヴィーナス・カスタムEか

あのスシブレードはバルドの思いが込められている」

「つまり自家製だから強かった、 と?」

「確かに自分で作ったスシブレードと

他の人が作ったスシブレードならば前者の方が親和性が高いだろう

だけども何と言うんだろうか・・・スシブレードとスシブレーダーとの絆

そういう物が彼等には出来上がっているんだ」

「絆・・・か」


しみじみと呟くゾーバ。


「愛着が湧く道具ならば強さもひとしお

そして絆が有れば実質強くなる」

「何だかオカルトめいてますよボス」

「ふん、 こう考えて見ろ、 相手がスシブレードとスシブレーダー

この二つが分かれていれば1と1、 そしてスシブレードとスシブレーダー

合わさって居れば2、 つまり1VS2、 勝てる道理が無い」

「良く分かりませんね・・・」

「つまり信じる力が強さになると言う事だ」

「裏社会の大物が言う台詞じゃないですね」

「信じられない奴を部下にした覚えはない」

「深いな・・・」

「羨ましい・・・」


三崎が呟いた。


「僕も最初はスシブレードを信じていた、 愛情も有った・・・

だけど何時からかな・・・僕にとってスシブレードは強さであり力になってしまった・・・」


涙を流す三崎。


「僕は今更ながらスシブレードを好きになりたい・・・ッ!!」

「・・・・・ワシも子供の頃はチンピラ以下の屑に殴られていた」


語り始めるゾーバ。


「そんなワシでも必死に努力を続けた結果、 裏社会の大物になれた

思いを抱き続ければ夢は必ず叶う、 叶わなくても今よりも良い状況になるだろう」

「ありがとうゾーバさん」

「いいって事よ、 子供の面倒を見るのは大人の務めだ」


にかっ、 と笑うゾーバ。


「そうだな・・・俺達はバルドより年上だからバルドより先に諦めないでやろう!!」


おぉー!! と拳をあげる一同。


「私は年下だけどね」

「私は同年代? かなぁ」


シャルとエミリーも軽口を叩く。


「それじゃあ僕も厨房で作業を始めるとするよ」

「頑張れよ!!」

「えぇ!!」


三崎は立ち去り厨房に走って言った。

厨房ではバルドが真剣な目で卵焼きを作っていた。


「バルド・・・」

「三崎さんですか・・・」

「今の貴方・・・僕が女ならば股を濡らしますね」

「え、 何ですか急に・・・」

「貴方の真剣な姿勢に感銘を受けましたよ」

「そうですか・・・」


尚も真剣な目で卵焼きを作っている、 そしてそれを食べた。


「ふむ・・・海老入りはやはり好きにはなれないな・・・」

「もっと焼き方に拘りを?」

「いや・・・・・そうだな・・・」

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