たこわさ

「急に出て来るなよ三崎」

「悪かったよ、 だけどもグリードさん

ワサビのみの涙巻きのワサビジュピターではパワー不足は否めない」

「確かに特出した所は無いな、 だけど色々試した結果

これが一番合うと判断されたんだよ」

「あぁ、 だから今回は創作寿司に片足を突っ込もうと思う」

「闇寿司!?」

「いや、 ギリギリセーフな筈だ」


そう言って三崎はタコのスシブレードを出した。


「これは?」

「たこわさのスシブレードだ」

「たこわさ?」

「たこのワサビ漬けの様な物だ」

「旨いの?」

「喰って見ろ」


もっしゃもっしゃと食べるグリード。


「旨い!!」

「だろ?」

「だがしかし・・・酒が進むな」

「未成年だからそれは良く分からない」

「うむ・・・だけどもやはり海苔巻きが良いと思う」

「何故?」

「シャリだけじゃあ勿体無い、 大量の飯が必要だ」

「なるほど・・・じゃあ刻んで海苔巻きの具にしてみよう」

「ちょっと待った」


ゾーバが待ったをかけた。


「何だ?」

「たこわさと言う名前、 これはひょっとすると三崎が居た世界の料理か?」

「そうだが・・・それが?」

「ワサビはグリードに相性がいい、 だからたこわさを作った

そう言う事だろう?」

「そうだな」

「だったら他にも山葵を試したネタを作るべきじゃないのか?」

「どういう事だ?」

「タコ以上に山葵漬けに適したネタが有るかもしれないと言う事だ」

「!!」


三崎がハッとした。


「その発想に至らなかった自分の首を絞めてやりたい!!」

「そこまで思い詰めんでも良いと思うが・・・

兎に角色々試してみよう、 ワサビの量の調整とか

グリードの好みに合えばもっと親和性が増すのかもしれない」

「確かに好みが合えば上手く行きそうだな・・・そうだな、 直ぐにやってみよう」

「あ、 ちょっと待ってくれ、 三崎」

「っとと!!」


立ち去ろうとする三崎を止めるウェッジ。


「危うく転びそうだったよ、 何だ?」

「バルドがあのスシの暗黒卿に勝てた理由って言うのは分かったのか?」

「!!」


三崎が俯く。


「ど、 どうしたんだ?」

「・・・・・それを聞いても参考になるか分からないよ」

「???」


首を傾げるウェッジ。


「聞いて見なきゃわからんだろう、 言って見ろ」


ゾーバが促した。


「少し話が長くなるかな・・・」

「構わない重要な事だろう」

「それもそうだな・・・」


どがっと三崎は座った。


「分かった、 話そう」

「おう、 じゃあこのたこわさをつまみに酒でも持って来るか」

「いや出来れば普通にアルコールを入れないで聞いて欲しい」

「そうか・・・」

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