耳打ち

王族達+αへの闇寿司の稽古は日暮れまで続いた。


「はぁ・・・はぁ・・・」

「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」

「ひゅー・・・ひゅー・・・」

「御指導ありがとうございました・・・」


ボグル、 ワサビ、 アサージ、 フグが息を切らす。


「やはり見込みが有るのはお坊ちゃん達は見込みが無いな

暗殺者のフグと・・・こいつか」


闇がちらりとヴィネガーの影武者を見る。

自己精神酢飯漬けの為にシャリを大量に摂取し

闇寿司の力を解放した為、 体の所々がシャリになって来ている。


「シャリの祝福と言う奴か・・・兄弟でこんなにも差が生じるのか」

「あー・・・それなんですがね師匠」


ブタ面の男が闇に耳打ちをする。


「こいつ影武者らしいんですよ」

「なんで分かる?」

「師匠が稽古つけている間に本物のヴィネガーって奴が城に来たんすよ」

「ふむ、 それで?」

「とりあえず牢屋に閉じ込めてます」

「そうか、 こいつの方が強いからそのヴィネガーって奴は逃がして良いぞ」

「逃がして良いんですか? 王子ですから利用出来ると思いますが・・・」

「いやいや、 後々逃げた奴が良い仕事をするんだよ」

「? まぁ逃がしておきますが・・・」


耳打ちを止める二人。


「それじゃあ飯を作ろうか」

「いや・・・良いです・・・」

「自分も良いです」

「ひゅーひゅー・・・」

「食べます・・・」


息も絶え絶えでほぼ食事出来るコンディションではない。

フグが食べようとしたのはプロ根性故か。


「ヴィネガーは如何だ?」

「お腹一杯です」


ヴィネガーの影武者はシャリを大量に摂取している故に満腹である。


「そうか、 じゃあ今日はこれまでにしよう

しかしこの調子ならはヴィネガーがシャリーダ13世になりそうだな」

「ぐっ・・・」


ボグルがキッと睨む。


「・・・・・」


ヴィネガーの影武者はふらふらと外に出て行った。


「御言葉だが王に強さは必要でしょうか?」


ワサビが提言する。


「要るだろ、 魔王だって強いんだから人間の王が弱くて如何する」

「ぐっ・・・ですが・・・強いだけの王なんて・・・」

「強くない軟弱な王に誰が憧れる、 強ければ良いんだよ強ければ」

「その言葉・・・お忘れにならない様に」


ボグルがワサビの肩を掴む。


「兄上・・・」

「ここは私に任せろ・・・」


ボグルがワサビに耳打ちをする。


「ふっ」


闇が薄く笑う。


「さてとでは、 厨房に行くとするか」

「我々は食事良いですって」

「俺達が自分で食べる分とかだよ」


闇がブタ面の男と一緒に厨房に行く。


「兄上、 一体何を考えているのですか?」

「ふふ・・・」

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