聖人達

とある一室に通されたバルトとタオ。


「失礼します」

「来たか」


O5-1が書類を前に待っていた。

その周辺には様々な人が居た。


「議長、 周りの方々は一体・・・」

「聖人だよ」


ファウンデーション教国には政治機関としてO5が有った。

今は議会になっている。

そして部隊隊長任命等の行事には象徴として聖人がその手続きを見守る

という行為が存在するのである。


「まぁ聖人とか言っているが客寄せパンダの様な物だね」


聖人の一人が自嘲気味に笑う。


「カインさん、 そんな事無いでしょ、 僕達が居る事で人々は安心出来るんですから」


別の聖人が釘を刺す。


「君は外に出られるけどさ、 カクタスマン、 私はそうもいかないんだよ」


カインと呼ばれた聖人は土で成長するすべての生命に対し害を与えてします。

その為、 外に出る事が出来ない。


「まぁ仕方ないですけどねぇ・・・」


カクタスマンと呼ばれた聖人はサボテンの力を身に着けた聖人である。

その為、 普通の人間よりも長寿である。

サボテンパワーで食い逃げを倒したり

重い荷物を持っているお年寄りを手助けしたりするのである。


「とりあえずバルト君

ここに君の部隊の設立やら何やらの為の手続きの紙が有る

サインを頼むよ」


読者諸賢に分かり易く言うならば

これは就職の際に書かされる色々な契約書と同じ事である。


「・・・・・」


当然ながら書類の紙を見るバルト、 そしてその中の一つに対してこういった。


「あのすみません、 この給料の所なんですが・・・」

「給料は新設された部隊の部隊長だから少ないと思うが

これからの功績に比例して昇級していく予定だ」

「そう言う事では無く・・・」

「?」


O5-1が怪訝そうな顔でバルトを見る。


「経費が降りるのならば私は給料要りません」

「・・・・・何故?」

「私はレーア様の執事ですし・・・

隊長になってもせめて給料は主からしか貰いたくないというか・・・」

「駄目だな、 仕事をしたのならば給料は必ず貰わなければならない

これは君だけの問題じゃないんだよ」

「どういう事ですか?」

「大昔に仕事を安請け合いし過ぎて業界全体の賃金が下がったケースが有る

君が給料を受け取らないせいで未来の兵士達の給料が下がって

それで兵士達が居なくなって世界の終焉とかになったら困るだろう」


理路整然というO5-1.


「そ、 そうですか・・・」

「もしも要らないのならば、 孤児院にでも寄付したら如何だ?」


カクタスマンが言う。


「飲み会の代金にでも使ったら如何だ? 仲間と打ち解けられるんじゃないかな?」

「そうは言っても飲み会の代金とかは経費で落ちるし・・・」

「いやいや、 ここは・・・」


聖人達でわいわいやり始めた。


「・・・聖人と聞きましたが、 意外い俗っぽい方々なんですね」


タオに耳打ちするバルト。


「そうじゃのう・・・」


―――――――――――――――――――――――

登場したSCP

SCP-073 - "カイン"

http://scp-jp.wikidot.com/scp-073

SCP-2800 - カクタスマン

http://scp-jp.wikidot.com/scp-2800

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