いのちある すべてのものに 主は 食物を 恵まれる
青葉きらめく 昼時に
神の子らは 命の泉の 畔佇む
疲れ癒やす 御言葉の雨に
愛の雨に 浸され潤う
泉の水 くみ取り 湧かした鍋に
無花果を剥いて 乳に浸し
パンを割いて 皆に配る
最後の晩餐を思い起こし
救いの完成 此処に祝う
天を孕んだ 神の花嫁に
天を
最早この身は 餓えを知らない
最早この身は 恐れを知らず
引け目を感じる こともない
故にその卓 欠ける事は無く
故にその皿 空にもならない
花嫁は 天を育てる
逸る血潮は
沸き立つ心は
産まれ出でた 天の手は 花嫁の胸乳を握り
天を産んだ 花嫁は 乳をやり 見下ろす
光は空の 器の中を満たし
零れた分を 大地に垂らす
地は花嫁と その主人を仰ぎ
蒼穹の空 受け止め抱いて 芽吹き喜ぶ
花嫁らは 野の
空より来たる 食べ
今は餓える ことはない
今は旅する 時でなく
四十年の 放浪は終わり
今我らは 約束された地に住む
乳の川から 白湯を汲み
蜜の稲穂から 葡萄を取る
模様を描いた 卵を剥き
殻は童に 身は刻んで 菜に寝かす
乳と蜜と 果実を煮込んだ
童は群がり 紅葉の手で 貪り食らう
「私にばかり!」
彼女が言うと 皆笑う
在りし日の 戒めを 心に抱き
遠くて近い 思い出を 思い起こす
心乱した 思い出語り
彼女はまた 妹に言う
「私にばかり!」
人々訪れ 食卓を囲い 祈りを捧げる
屑を求めて 鳥達飛び入る
彼らの羽は 御言葉の雨に 濡れ輝き
銀貨の鳩が 彼らを統べる
狼は 羊と共に 歩んで座り
パンと葡萄酒 蜜を食す
狼の 毛皮を背に 眠る童に
羊自ら 毛を切って被す
人々 腹を満たして 歌うたい
命ある 全てのものは 計らいの 中に生きる
その歌は 絶え間ない 悦びにあり
いつしか民は 個を失い 一つと相成る
その歌は 降り継ぐ雨の 雫に似た光
老いも若きも 男も女も 融けて巡る
食すもの 食されるもの 境無くなり
然らば人に 神は
そこに在るもの ただ神のみ
光に入らず 神を呼ぶ者は 叫び宣う
「人が神に生る人祖の罪」
「断罪をせよ 破門して
暗がりの卓に 光あれかし
我らはまさに 今神の中に居る
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