第5話 おっさんとスキル

 おっさんが異世界へ送り込まれる準備を無理にさせられている頃。


 漆黒の鎧に包まれたゴブリン兵士が100団。

 

 編成し、合わせて10000体が森奥から姿を現していた。


 生命溢れる都ルシアー。


 近づくその脅威に立ち向かうのは誰なのか・・・それを知る時は近い・・・。






―おっさんサイド―


「こんなもんか」


 おっさんはイメチェンを行った。


 無精ひげは無くなり、頭の毛が薄くなりつつあった部分を補正。


 もともとの顔は悪くなかったから据え置きしつつ、目の皺を補正。


 仕上がりは屈強そうなナイスガイなおっさんである。


「ご満足ですか?一度決定しますとやりなおしは、し・・できませんのでご注意下さい」


「・・・おい、なんか今言いかけなかったか?」


「・・・?いいえ、おほほほほ」


「・・・まあいいか、これでいい」


 おっさんは宙に浮いている玉から手を放し、玉から体を離した。


「かしこまりました。身体反映させます。コールス。」


 玉が光を放ち、おっさんに放出光を浴びせる。


 光は消え、おっさんは設定どおりの姿に変わった。


「まぶしい!いきなりかよ?!びっくりした!」


「おほほほほ」


「おほほほほじゃないって・・・ったく」


「渉さん、あなたをさっそく異世界に連れて行かなければいけないようです。」


「ん?」


「あなたに行って頂く、異世界ボルドは地球と同じく自然豊かな世界です。しかし、今その世界の生命バランスに危機が迫っています。」


「・・・それで?」


「私の計算では、あと1年。魔物と人間、魔人族と天使、魚介類と海藻類。さまざまな生命が骨肉の争いをし、互いを滅ぼすまでのタイムリミットです」


「魚介類と海藻類がなんで入っているのかは突っ込まないでおくが、争いが起きようとしているなら、仲裁に入ったり出来る存在はいないのか?」


「よい質問です。正直に申しましょう。渉さん。・・・あなたの力でこの世界を平和に導いて欲しいのです」


「・・・は?なんで?こんなおっさんに?・・・いやいやいや・・・ほかに適材いるっしょ」


「タシカニイルカモシレマセン」


「いるのかよ!」


「おほほほほ」


「・・・ハア、もういいよ続けて」


「はい、新たな争いが起こるまでに残された時間は多くありません。従って、あなたには特例のスキルを3つ選ばせることができます。また、私の女神としての恩恵も付与し、成長速度を加速します。成長したそのスキルを使い、全ての生命が共存できる世界にして頂きたいのです」


「おーおースケールが大きいこって、いちいち突っ込んだら時間が惜しそうだ。スキルってのは?」


「はい。リストオブジェクトコール」


 ブン。渉の前にスキルリストが表示された。


「ふむ」

-スキル選択リスト(女神コール)-

 1.魔法詠唱スキル(火・水・地・風・治癒)

 ―詠唱回数と詠唱に費やす精神力に比例し、スキル威力が向上。Lvに上限は無いが詠唱者の肉体が滅んだ場合、停止する。


 2.肉体稼働スキル

 ―自らの肉体へ精神力でイメージすることにより、硬質化など様々な変化を加えることができる。

 スキルLvの上限は50。

 10ずつLvが向上する度に、腕→足→頭→肩→胴の順番に強化できる部位が増える。


 3.創造スキル(物理)

 ―手に触れた物を精神イメージ力に沿った物的創造物に作りかえることができる。

 スキルLvに上限は無く、Lvが上がる度に1個ずつ創造できる数が増えていく。


 4.不死スキル

 ―アンデットとなり、攻撃してきた相手のスキル特性を把握し、自分のスキルにする事ができる。

 しかし、体臭が酷く、味覚等がなくなり、人間としての生活が100%できなくなる。

 スキルLvに上限は無く、Lvが上がる度に2個ずつ習得できるスキル数が増えていく。


 5.魔法付与スキル(人・物)

 ―魔法詠唱スキルとは違い、人や物にのみ属性(火・水・地・風・治癒)を付与することができる。

 効果は付与者が死んでから7年まで持続する。

 スキルLvに上限は無く、Lvが上がる度に3個ずつ創造できる数が増えていく。


 6.操作マスタースキル

 ―手に触れることができる物に対して、あらゆるコントロールが出来るようになる。

 スキルLvに上限は無く、Lvが上がる度に5個ずつ操作できる数が増えていく。


 7.従者スキル(生命体)

 ―会話を行い、相手が了承した場合、その存在を仲間にすることが出来る。

 また、このスキルを選んだ場合、全ての種族の会話を話すことが出来るようになる。

 スキルLvに上限は無く、Lvが上がる度に1体ずつ仲間にできる数が増えていく。


 8.起死回生スキル

 ―自らの肉体が滅んだ時、近くの生命体に魂を移すことが出来る。

 スキルLvに上限は無く、Lvが上がる度に魂を移せる距離が1㎞ずつ広がる。


 9.運呼スキル(ウンコスキル)

 ―このスキルを選んだ者は多彩な運に恵まれる。

 スキルLvに上限は無く、Lvが上がる度に意図しない出来事が増えていく。


 10.影スキル

 ―このスキルを選んだ者は影の中でしか存在出来なくなる。

 スキルLvに上限は無く、Lvが上がる度に影としての違和感が無くなっていく。


 11.太陽スキル

 ―このスキルを選んだ者は太陽になる。

 スキルLvに上限は無く、Lvが上がる度に10度プラスマイナスずつ調整温度が増えていく。

 また、自分の太陽光は方向操作が可能。


 12.神スキル

 ―肉体・精神の使用内容・使用回数に伴い、様々なスキルを身に着けることができるようになる。

 チート。スキルLvに上限は無く、Lvが上がる度にスキル威力・数・内容が増えていく。

 このスキルを選んだ場合、スキル選択2個分扱いとなる。



「ぷっ。まさに異能スキルだな」



――――

 おっさんのスキルチョイスが炸裂なるか?!次回に続く!


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