第3話 おっさん黒焦げ

――


【異世界】


それは死を繰り返す生き物達の理想郷。


新たな生命の箱庭となる世界で、これから巻き起こる事態の数々をおっさんはまだ知らない・・・


――



「目覚めなさい」


「(ん?なんか、声がするな。眠い。おやすみ。)」


「(イラッ)メ・カイマ・アルケ」


 おっさんに雷が落ちる。


「ギャアアアアアアアア!」


 人に雷が落ちたら死ぬと聞くが、この世界ではそんな事にはならないらしい。


 プスプスプスッと黒焦げおっさんは意識を一時落とされるが、すぐに目を覚ました。


 おっさんの目の前には金髪スラリとした美女が漆黒のカーディガンを片手に持ち立っていた。


「お目覚めですね(ニッコリ)」


 目の前の女神がカーディガンを使いなさいと営業スマイルで手渡してくる。


「アンタ今・・・営業用の顔してるだろ・・・」


「あら、凄い!頭の中が覗けるスケべさんですか?」


「(あー、この女面倒なタイプか・・・なんでこんなことに・・・やれやれ)」


「渉さんでしたか、色々理不尽極まるこの状況ですが、お話を進めさせて頂けたらと存じます」


「色々理不尽って・・・色々文句言いたいが、なんか用事がありそうだから、聞いてからにするよ」


「ありがとうございます。突然襲い掛かられるかもと、準備し待機させていた。拘束魔法を使わずに済みそうですね(ニッコリ)」


「(イラッ)だから!そのスマイルやめろよっ!」


「あら、ごめんなさい。オホホホ」


 渉はこの女神に辟易しながらも、現状を把握するのに努めるのであった・・・。

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