第2話 おっさんと異世界融合開幕

 そこが果たしてどこに存在する場所なのか検討が付く筈もない。


 − 意識がハッキリとしない中、おっさんの感覚が徐々に冴えてくる。


「(・・・あー?なんだよ、気持ち悪い感覚やなー)」


 おっさんは朦朧とした意識の中、不快な感情に苛まれていた。


「(不快だけに腐海な状況かなw・・・ハァ)」


「・・ますか」


 女性の声が聞こえる。


「(ん?)」


「・わた・・声が聞こえてますか?」


「(あーなんだ?空耳か?)」


 おっさんはもう終わりかなぁ、この人生とかブツブツ頭の中で朦朧としている。


「私の声が聞こえているなら、気合を入れて叫んでみて下さい!」


「(あ?なんか、大層な物言いやな・・・だけどまあ、このままにしてるのも違うしな)」


「はい!なんですか!素敵な声の人!」


「!あ、聞こえてたようですね、良かった。今から、現実と魂の融合を始めます。


 多少、更なる不快な感覚があるかも知れませんが、我慢して下さいね。では、始めます」


「え、何魂がなんだって?って、ちょっーーっまて?!」


 おっさんは焦る。だが時既に遅し。


 女神の力によるものなのか、見えない力に引っ張られる感覚で、渉は融合されていく。


「(これがあるあるな女神のわがままか・・・)」


 ファンタジーは誰しもが憧れる世界。


 剣や魔法、スキルを行使しては宿敵を倒していく。


 世界が違うことにより、異なる価値観があり、その異なりの中での生活に惹かれない者はいないだろう・・・。


 そんな物語を読んでいた渉にとっても、異世界に行ってみたいなんて思ったことはある。


「だけどさ!(だけど、説明が欲しかった・・・)」


 おっさんは今、異世界に旅立つ!

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