第7話魔の誘惑
地味で平凡だと思っていた百合子の容貌がじっとみているうちにとんでもなく魅力的なものに見えてきた。潤んだ瞳でみつめられるとその顔をずっと見たいという欲求が心のそこから湧いてきた。
その薄い唇が近づいてきて、囁く。
「ねえ、帆村くん。私、あなたにきめたわ……」
そう言うと、さもその行動が当然のように唇をかさねた。
ねっとりとした舌が口腔内に侵入し、明人の舌をからめとる。冷たい唾液がながしこまれ、少年はそれをごくりと飲んだ。
執拗にからまる舌からもたらせる快感に明人の思考力は風前の灯であった。
自らも乱暴にからめ、貪るように唇を吸った。
するりと冷たい指先がズボンの隙間から滑り込んでくる。
すでに熱した鉄のようになっている明人の下半身の一部分を強く握った。
うっという情けない声を明人はもらす。
その様子を見て、百合子は楽しそうに微笑んだ。
しゃがみこみ、慣れた手つきでベルトを外し、ズボンをずらした。
猛りきるその部分を百合子はいとおしそうになでた。
そしてそれをゆっくりと唾液でぬれた口にふくむ。
そこでも明人はあうっという悲鳴にも似た声をもらした。
口にふくみながら、百合子は顔を上下にゆらした。その間も舌は蛇のように動き、からみとる。
口と舌からもたらさせる快感に明人は抗う術はなかった。
腰の奥からぞくぞくとする快楽の塊が押し上げられ、外に出ようとする。
絶え間ない舌と口からの刺激についに耐えきれず、少年はほとばしる液体をどくどくと百合子の小さな口にぶちまけた。
思っていたよりも早い最後に百合子はげほげほと咳き込みなからも喜悦の表情で受けとめ、すべてをごくりと飲み込んだ。
がくがくと震えながら、明人はどうにか意識を保つのに必死だった。
油断すると快楽の果てに意識が遠のきそうだった。
立ち上がりると百合子は細い腕を明人の首にからめた。
彼の脳内には百合子しかいなかった。
もはやこの目の前の少女のことしか考えることしかできなかった。
文字通り彼女のことでいっぱいだった。
もっともっともっと彼女と触れていたい。
そのような人間の単純な欲望に少年は支配されていた。
「今夜の十二時に港の倉庫街に来てちょうだい。私ともっと楽しいことをしましょう」
百合子の提案に明人は断ることができなかった。
深夜の倉庫街に明人は着ていた。
そこは百合子の指定した倉庫だった。
人気のない場所で薄暗く、不気味であった。
埃っぽい空気が鼻腔を刺激し、くしゃみをしそうになる。
倉庫にはいるとだだっ広い空間のほぼ中央に一人の人物が正座で座らされていた。
その人物は腕を手錠で戒められ足は太い鎖で縛られていた。口には汚れたロープで猿ぐつわをされていた。しかも、下着だけの姿でだ。
近づき、よく見るとその人物は山崎理恵だった。
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