第27話 女性教師
今日から夏休みだ。しかし俺は学校にいる。
終業式の日の保健室での出来事を担任の先生に見られてしまい、誤解は解けたものの進路を含めた生活指導を受けるハメになってしまったからだ。
こんな暑い日に、しかも夏休み初日から学校へ来る事になるなんて俺もついてないな。
えーと生活指導室はここだな。
ドアをノックする。『コンコン』
「どうぞ入ってー」
なんだかフレンドリーな感じで中から返事が帰ってくる。
生活指導室へ入ると俺は……絶句した。
まさに声も出ないとはこの事だろう。
そこにいたのは紛れもなく担任の先生なのだが……
ただ……外で見たらギャル風のお姉さんにしか見えないだろう。
頭にはサングラスを乗っけており、メイクはラメ入りなのか目元が光っている。そして口紅もいつもより情熱的だ。
服装は鮮やかなオレンジ色のタンクトップに超ミニの白い短パンそして厚底サンダルを履いている。
あまりにも露出が多くて目のやり場に困ってしまうほどだ。
「失礼しましたー」
嫌な予感がするので急いで進路指導室を出ようとするが、
「はーいストーップー!」
何か聞こえてくるが得意のスキルを発動してスルーしようとする。
すると突然!!!!
「きゃっー!如月くんがわた……むぐぐ」
あっぶねー!!
もう少しで教師を襲う生徒に仕立て上げられるところだった。
「もう如月くんたらいきなり口を塞いでくるなんて、強引なんだからうふ」
「姫野先生どういうつもりですか?」
【姫野 美紅(ひめの みく)】 聖マリア◯大学を卒業して今年から勇樹達の通う高校に赴任してきた新米教師である。
中高大学と一貫制の女子学校に通っていた為、お嬢様学校出身という触れ込みと本人の可愛さから生徒に人気があった。
「いやーやっと夏休みだし、慣れないスーツ姿は疲れるのよ」
服装の話じゃなくて叫んだ事を言ってるんだが……
「ではすぐに進路についてお話しましょう」
「やだ〜せっかちは女の子に嫌われちゃうぞ」
ダメだ……どうしてもこっちのペースにならない。女性相手だといつもの事だが。
「しょうがないから始めるよ。如月くんは卒業後はどうするのかな?大学の推薦も断ってるみたいだし]
「今やりたい事がないのに目的もなく大学に入るのは無意味です。それなら他の人に推薦枠を使ってもらった方が有意義だと思います」
「へ〜。他の先生達の言ってたイメージと違うね。他人に気を回せるなんて」
新菜のおかげだと俺自身もびっくりしている。
「オッケー!いいんじゃない」
軽いな〜。
「じゃあこれで……」と言いかけると
「終業式の件がまだだよ〜」
「だからあれは誤解が解けたじゃないですか」
そう新菜が悪ふざけしたと説明して納得したはずだった。
姫野先生が不適な笑みを浮かべている。
「それにしては妹さん相手でも君まんざらじゃない感じだったようだったけど〜。もしかして……女の子に興味でもあるのかな」
わざわざ胸の谷間が見えるように前屈みになり上目遣いで俺を挑発してくる。
これは効果が抜群だった。
いくら俺の周りに美少女がいてもまだまだ発展中の高校生なのだ。
いま目の前にいる女性は大学も卒業している大人の女性だ。
ふんわりとした香水の香りが勇樹の感性を刺激してくる。
仕方がない。少しだけ昔の自分に戻るしかないな。
「姫野先生はだいぶ欲求不満のようですね。でも僕が協力する事は出来ませんが、派手な見た目とは裏腹に先生は処女ですよね。ここまで守った大事な物を悪ふざけで失う可能性もあるんですよ。健全な男子高校生には今後やめておいてください。取り返しがつかなくなって泣くのは先生ですから。そんな姿を僕は見たくない」
久しぶりに空気を読まず言いたい事を一変にぶちまけた。
平手打ちくらいで済めばいいけど。
「処女って普通は先生にハッキリ言うかな?」
顔を真っ赤にしている。図星のようだ。
「君やっぱりいいね!お姉さん気に入っちゃったよう」
俺の手を取ると
「ドライブ行くよ〜」
「えっ!?」
強引に先生の車まで連れてこられて、何故か素直に助手席に乗ってしまった俺だった。
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