第23話 ランチ会

結局予約していたシュリンプ専門店に人数の変更を告げて来店した。


「わー!アメリカンな感じで雰囲気がいいお店だね」

「映画に出てくるイメージみたいだよ」

「なんだかお邪魔してしまって申し訳ないわね。でもオシャレでいい感じだと思うわ」


女子3人にはかなり好印象だ。


「いまさらだけどエビにアレルギーある奴いないよな?」

「!!!!!!!!」


申し訳なさそうに結衣が手をあげている。

しかし結衣は最近やばそうだから優しくしてあげよう。


「ハンバーガーとかバックリブとかあるから気にするなよ」

「えっ。ありがとう・・・うふふ。なんだか優しいね」


な、なんだ?笑み浮かべて少し怖いな。正解が分からないぞ。


「と、とにかく大好きな新菜を注文しよう!」


あ、焦って盛大に間違えた。。。新菜の大好きなシュリンプを注文しようだった。


「お、お兄ちゃん・・・さすがにそれは・・・」

「露骨なシスコン確かに見させていただいたわ」


デレる新菜に冷めた目で見る薫。うーんかなり対照的だな。


そんな少し浮いたグループの俺たちはかなりお店で目立っているが全員がいろいろなスキルを発動中である。

飲み放題

「まずは飲み物を各自で決めてくれ」

「アルコールフリーのカクテルみたいの」

「私も」

「飲み放題のドリンク!」


新菜と薫はイメージ通りだが、結衣もある意味庶民的でイメージ通りか。


「じゃあ俺は、バージンラヴァフロウ」

「「「えっ!!!」」」


なにみんな赤くなってるんだ?訳が分からないがこのフローズンカクテル美味しいんだよ。

「バージ・・・」


アメリカではノンアルコールカクテルを頼む際にバージンとつけたりするのだ。

勇樹はアメリカでも同じものをよく飲んでいたので注文しただけだが、この年代の女子は恥ずかしくて反応してしまうらしい。


「あとは俺が適当に注文するけどいいか?」

「はーい」

「お願いします」

「オッケー」


このお店では注文する際に、テーブルのプレートをめくって店員さんに合図するのだ。

サラダやシュリンプ、スープそれとハンバーガーなどいろいろチョイスして注文した。


「勇樹さんは見かけによらず思ったより要領もよく面倒見もいいのね」

薫が感心して俺の顔をガン見しながら言った。


「勇樹さん?」

「だ、ダメだったかしら?ごめんなさい」

勇気を出して言ったものの後悔しているようだ。


「呼び捨てで構わないぞ」

「い、今は呼び捨てはいけないわ。いつかお付きあ・・・」

「「わーーーーー!!」」


新菜と結衣がなんだか騒がしいな。


「私と一緒に出かけるといつもこうだよ?優しいしリードしてくれるし頼りになるし」

「そうなの?クラスにいる時と全然違うからびっくりしてる。今のほうが好・・・」


「「きゃーーー!」」

「なんだなんだ?」

今度は新菜と薫が叫んでいる。

さっきからやたら騒ぐな。女子が集まるとこんな感じなのか?


「新菜ちゃんはイメージ通りだよね」

「そうかな?」

「意外だったのは勇樹くん以外の男子とまともに話してるところを見たことがない事かな?」


なに?そうなのか。兄として少し安心する。


「お兄ちゃんは特別だから。。。」

その上目遣いはどこで覚えたのかが気になるところだが、お兄ちゃんはこの表情も好きだぞ。


「でも兄妹じゃ付き合えないですものね」

薫の一撃で少し静かになかった気がする。


「天城先輩は男性が嫌いでしたよね?」と少し怖い表情の新菜が質問する。

「当り前ですわ。でも・・・」


そこでなぜ俺を見る!俺を嫌いなのはわかるが、シュリンプは新菜の為に予約したのだから俺がいて当たり前だろ。


ここでぞくぞくと料理が運ばれてくる。


「ガーリック風味のシュリンプ最高!!」

「クラムチャウダーも美味しいね!」

「ハンバーガー大きい!」


最後は味の感想じゃないぞ結衣。


こうして和気あいあい?とした予想外のメンバーのランチは夕方まで盛り上がった。


これだけ打ち解けたのにいまさらテストの勝負意味あるのか?と一人思う勇樹であった。

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