第18話 生徒会長
「朝はよくも逃げたわね!!」
「逃げるも何も俺たち他人だし」
「とにかく勝負よ!」
だめだ・・・全然こっちの話聞いてねー。まあ美人のようだがタイプではないな。
こう新菜のように触ると壊れてしまいそうなガラスのような・・・やっぱり最近駄目だ俺。
「いったい何を勝負するんだ?」
「期末テストに決まってるでしょ!!」
やっぱりこいつやばい。
いつもなら俺のスキルで話にすらならないのに、無理やり会話してきやがる。
そもそもテストで勝負ってアニメとかラノベかよ。
「中間テストの結果を先生に聞いたのよ。何科目で1位だったか知りたかったから。当然総合順位は1位だと思ってたのに・・・」
ここで美人が勇樹を睨みつける。
勇樹と新菜の高校は進学校で有名だ。
その為、大学受験の推薦の目安として総合順位が20位以内の生徒だけにプリントが配られていた。
「あなたが1番だって聞いたのよ!!!まぐれでもそれは許せない!」
「個人情報良く聞き出したな。すげーなお前」
そういえば毎回プリントもらってた気がするが興味ないから見てなかったな。
「じゃあ俺の負けでいいよ。話は終わりだな。よかったよかった」
「な、なに如月勇樹!!馬鹿にしてるの!!」
興奮して暑くなったのか腕をまくり、制服のリボンをはずし胸元までボタンをはずして抗議してくる。
なんでボタンはずす!
ボタンを緩めると大きな胸が強調されアピールしてくる。。。。ように見える。
「馬鹿にしてないさ。一番とか順位とかに興味はないってだけだ。誰かも知らないし」
「あなた私を知らないですって!?私こそが生徒会長の天城薫(あまぎかおる)よ!」
『生徒会長 天城薫(あまぎかおる)』
この学校で知らぬものはいないくらい有名だった。勇樹は知らなかったが。
170センチほどの細身の長身で、髪は腰ほどまで伸びている黒いロング。細身ながらその見事な大きさの胸はどうしても目についてしまうのだが、それに負けない美貌を持ち合わせている正当な美人だ。
勇樹の妹の新菜が入学してくるまでは、学校で1番人気の美少女だった。
勇樹とは対極な性格とでもいうのか。
負けず嫌いでしっかり者。
男子から人気はあるが、まったく男子に興味はなく自分より下等な生物に興味はないと公言しているのはあまりにも有名だ。ようは高嶺の花なのである。
『ぷっ。なんでここまで自信満々なんだ?おもしれーなこいつ』
勇樹にしては珍しく無意識に興味を持っていた。
「さっきから何を笑っていますの!失礼じゃない!」
「悪かったよ。なんだか全力で話すから一生懸命で可愛いと思ってさ」
勇樹が素直に感想を言っていた。
「な、なに可愛いとか言ってるのよ!そんなお世辞ばっかり言う男子には慣れてますのよ」
少し顔がピンク色になりかなり動揺する薫だった。
「勝負したいんだったな?気は乗らないがいいぞ」
「最初からそうおっしゃいなさい!」
ほんと面白いな。そもそもお嬢様のような話し方する奴っているんだなー。
「では勝負は各教科ごとの点数で勝負よ!万が一にもありえないでしょうけど、あなたが勝ったら何か望むことはあるかしら?」
「うーん特にないけど・・・友達になってくれ」
新菜に早く結衣以外の友達作れって言われてるんだよな。そもそも結衣も友達なのか?
「勝負としては甘いですわ!真剣に勝負していただくために、朝も言いましたが万が一にも私が負けでもしたらーーーー」
ここで保健室のドアが開く。
「あなたとお付き合いします。そしてこの体を好きにしてもいいですわ!!」
なんだか足されてるようなと思いながら開いたドアを見ると、そこには唖然とした新菜と結衣が立っていた。
なんでふたりが・・・悪夢だ・・・。
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