第4話
東西線南行徳駅 海側の階段を降りてすこし歩くと戸上家がある。夜だけのうどん屋さん。コロナ騒ぎですっかりSTAYHOMEは板についたが、夜だけ営業の店からは外出自粛宣言がでる前から足が遠のいていた。つい先日5月の連休明けから昼の営業をスタートし、夜も時間を短くして営業しているというので久しぶりに訪ねた。お店の人もマスクをしてるのに覚えていてくれて嬉しかった。
駅から近いこともあって、残業帰りに頼れる店だった。夜の7時をまわると曜日によっては満席で待たされることもある繁盛店。行くと決めたら電話で席の空き状況を確認することを学んだのもこの店だった。一品料理が美味しくて、締めのうどんを頼む前についつい注文しすぎてしまうのが反省点だった。ボーナスが出たからとご褒美にステーキを注文し自分をねぎらっていた頃が懐かしい。
カウンターの中では今でも男性3名が注文を受けて目の前で料理を作ってくれる。だしの味をきかせた柔らかいだし巻き卵は安定のおいしさ。一番のお気に入りである。
熱いものは熱く、冷たいものは冷たく運ばれてくる。盛り付けもきれいで、仕事ぶりが美しい。刺身の盛り合わせなど、一人前からでも見た目が美しくて気分が上がる。豚肉のちりポン酢蒸しには必ず下に厚い昆布がひいてある。付け合わせはもみじおろし。うどんについてくる鳥の唐揚げも絶品。サラダのドレッシングに使われているごまの香りが私の心をつかんではなさないのだ。
割烹の味をうどん屋さんの気軽さで味わえるお気に入りの店。ご近所に住んでいることに感謝したいお店である。
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