第3話

5月の連休最終日にハワイのがシェフ2名がアメリカのジェームズビアード賞のファイナリストにノミネートされたというブログを読んだ。そのお店の名前をみたとき、いえもしかしたらと思った瞬間から思い浮かんだ名前が一致した時に、やはりあそこのシェフは素晴らしかったことが広く認められたのだと思った。ジェームズビアード賞はアメリカ料理界における最も有名な賞で、全米料理界のアカデミー賞と言われているのだった。


母の80歳のお祝いをハワイでお祝いしたいという願いがかなってホノルルに滞在していた時、ランチに訪れたのだった。初めての場所なので、ホテルからダウンタウンまでバスにするか、バス停から店まで初めてなので迷うこともあるのでタクシーにするかと二者択一。道に迷うのも冒険で楽しい思い出にもなるが今回は高齢の母のため、息子にUberを呼んでもらって出かけた。


ダウンタウンには小さな間口のお店が商店街のように並んでいた。一方通行の関係で店の前まではいけなかったが、あそこだよと教えてもらった場所までたどり着くと

窓越しに中華系のご夫婦がランチしているのが見えた。ここだと思ったドアを開けると開かない。ブザーを押してみようとするとそこは締め切りになっていることがわかり、もう一つ並びのドアから出入りしているようだった。


ドアを開けると天井が高く中は広く素敵なレストランだった。無駄のないシンプルな作りで清潔感がある。サステナビリティのある雰囲気が気に入った。ランチのコースはおいしく、多過ぎないボリューム感が嬉しかった。それからデザート。そこで抹茶にひかれて頼んだ多分アイスクリームだったと思うのだが、日本人でも味わったことのない深みのあるテイストだった。甘くなく苦くない。これはお茶屋さんの作ったアイスクリームで一番抹茶の濃い味を食べるのに30分近く並んでようやく食べたあの味をはるかに超えていた。今まで食べた中の私の抹茶ベスト、甘くなく苦くないプラス口の中がさっぱりするもの。これを一気に抜き去るおいしさと爽やかさだったのだ。日本人でも食べたことのない抹茶のおいしさが引き出されており、こちらのシェフはそれをご存じなのだと恐れ入った。


そのブログには暗いニュースが多い中、明るい話題を紹介すると書いてあった。

私にもあのホノルルでシェフがくれた爽快な味とともに3年前、2018年9月の記憶がよみがえってきた。






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