第47話 昇天


 その夜


 乱交パーティーは無しになったものの、みんなで宴会という事で飲んで騒いだ。

 全員神社の屋敷で寝ている。


 そんな中イッキューだけがむくりと起きあがっていた。

 周りが寝ている事を確認すると寝る必要のないタルタと共にゆっくり外へ出る。


 そしてしばらく経つとイッキュー達は森の中に居た。


「おおっ! イッキュー様! 」


 死霊となったネギ神官が、泣きながらイッキューにすがりつく。

 その姿にイッキューが慈愛に満ちた笑顔を見せる。


「ちゃんと敵は討ちましたよ」

「ありがたい……」


 泣きながらお礼を言うネギ神官。

 そしてイッキューはこう言った。


「では昇天の儀式を行いますが……私の体に乗り移ってください」

「……あなたの体にですか? 」

「ええ」


 優しい笑顔でうなずくイッキュー。

 だが、ネギ神官は訝しむ。


 普通は昇天の魔法で終わらせるものだからだ。


「これから私の体でタルタとセ〇クスしましょう。霊肉一致で昇天いたします」

「あ、いや、それは……」


 流石に恥ずかしそうに顔を赤らめるネギ神官。


 霊肉一致とはセ〇クスすることで行う儀式である。


 魔力を高めたり、色んな役割があるのだが今回は昇天の儀式である。

 特に昇天時に迷える亡霊の無念を晴らしながら昇天させると、天国に行きやすいとされる。


「遠慮なさるな。未練を残した霊魂に、無理やり魔法での昇天は転生に支障が生じます。より良き新たな人生のためにも我が体をお使いください」

「かたじけない……」


 泣きながらお礼を言うネギ神官。

 当り前だが、そこまでしてくれる神官はそうそう居ない。


「恥ずかしながら、わたくしも最後はもっとやりたかったなどと考えてしまいました……そのように昇天していただければ感無量でございます……」


 人間が死ぬときに真っ先に考える後悔の大半がこういったモノである。


 それは人間の業であり、生きるとはそういうものなのだ。


 本当の意味で心から綺麗な人間などいない。


 特に霊魂はそう言った部分が露骨に出てくるのだ。

 生前は徳の高い清廉潔白な人間でも、霊魂は恐ろしく醜悪というのもよくあることなのだ。


 それを考えればネギ神官の心などまだ軽い方である。

 タルタがするりと服を脱いで真っ裸になる。


「さ、遠慮なさるな。タルタはこう見えて床上手ですぞ」

「ありがとうございます」


 そう言ってイッキューの中に入るネギ神官。

 その時、草むらから声が上がった。


「……昇天の儀式ってそうやるのか? 」


 苦笑するマダラが居た。

 守護霊は縁が繋がっているのでかなり遠くまで動けるのだ。

 それを聞いてにやりと笑うイッキュー。


「私の場合はいつもこうです。昇天の魔法はあることはあるのですが……それでは味気ないので」

「半分は自分の趣味か……」


 苦笑するマダラ。


「かなりの数の死霊が居るようだが全員分それでやるのか? 」

「当然です。手を抜くのは霊魂に失礼です」


 イッキューは堂々と言い放つが、かなりの離れ業である。

 

「良かったらあなたも昇天しますか? 」

「やることがまだまだあるみたいだから遠慮しとく」


 そう言って笑うマダラ。

 だが、最後に一言だけ付け加えた。


「俺が昇天するときはイッキューさんに頼むよ。ただその時は別の子にしてくれ」

「……おや? タルタではご不満ですか? 」


 イッキューの言葉にちょっとだけむっとするタルタ。

 だが、マダラは少しだけ苦笑して堂々と言い放つ。


「あんまり胸が大きい子は好きじゃないんだ。貧乳スレンダーの子が好きなんだ」


 マダラの言葉にイッキューは苦笑した。

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