第22話 ユウエンの夢
「ということだ」
城の三階でのんびり語っていたユウエンが話を締めくくる。
侍従も興味深そうに話を聞いていた。
「奇怪な話ですね」
「そうだな」
不思議そうにする二人。
「創世大魔王様は鎧を使わなければ魔法が使えなかったのですか?」
「その通りだ」
夢の中ではクオンは雑種になっていた。
始祖の伝説と色々と食い違いがあるのだ。
「それにお話だと始祖に魔法を教えたのはマダラ様になるので? 」
「そうだ」
使い方がよくわかっていないクオンに対して、何故かマダラの方は使い方を知っていた。
これも始祖の伝説と色々食い違いがある。
侍従がさらに不思議そうに尋ねる。
「そのプップというのも不思議ですね……白い鎧に変わるなんて……」
創世大魔王クオンは小さな魔物をペットとして飼っていたというのは良く知られていることだ。
そして、創世大魔王クオンは常に白い鎧で戦っていたとされる。
この辺は史実と色々食い違いがある。
「クオン様は常に白い鎧で戦っていたのは良く知られておりますがそれがペットと同一だったとは……」
「ゆえに白色が好きとも言われていたな」
ユウエンは苦笑する。
この大魔王の城も白を基調にしているのだが、それはクオンの好きな色だったからと言われている。
その理由はと言えば……
「魔物も白色で鎧も白色。そしてそれを聞かれたときに『白色が好きだから』と言っていたとされますが……」
「キライでは無さそうだが、違う意味がありそうだな」
ユウエンが苦笑する。
白が好きなのではなく、白が好きな振りをしていたことになる。
そしてそれを隠す理由は一つだ。
「雑種であることを隠し続けていたことになるな」
「……そうなりますね」
侍従が冷や汗をかきはじめた。
この魔界において、魔王は王種しかなれない。
そして魔王はそれにふさわしいだけの強大な魔法が使えるのだ。
なのにそれが雑種となれば、知られるのが危険と考えても不思議ではないだろう。
場合によってはそれを知った侍従が殺される可能性もあるのだ。
冷や汗だらだらの侍従を見て苦笑するユウエン。
「騒がせて悪かった。私もそろそろ寝ようと思う」
「は、はい!わかりました! 」
慌てて下がる侍従。
ユウエンはそのまま部屋に入り、寝床に入る。
(さて、次はどんな夢をみるのかな? )
次の夢に期待しながらユウエンは目をつむった。
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