第20話 怒りの魔獣
ぶぉぉぉぉ!
セツナに尻尾を蹴飛ばされた魔獣が怒りの雄たけびを上げる!
「へ? 」
セツナが間抜けな声を上げる。
だが、いまだに状況が理解できずにぼけっと座り込んでいる。
「逃げろ! セツナ!」
「え? 」
完全にわかっていない顔できょろきょろするセツナ。
魔獣は尻尾を振りまわした!
「うきゃぁ! 」
尻尾の攻撃を食らいそのまま転がされるセツナ。
魔獣は爪を振りあげてセツナへと攻撃した!
「させるかぁ! 」
ギュウ!
振りあげた腕にヤスナガが噛みついてそのまま腕に絡みつく。
だが、それでも大きさの差は大きく、相手には全く効いていない。
そのまま腕を振りまわす魔獣。
ぶぉぉぉぉぉぉ!
魔獣が怒りの雄たけびをあげて暴れる!
「クオン君! 」
座り込んだままのセツナがこちらへ手を差し伸べた瞬間!
魔獣は態勢を崩してセツナへと倒れ込んだ!
(やばい! )
焦るクオン!
魔獣はそのままセツナへと倒れ込み……
ズン
魔獣の下敷きになった。
「……え? 」
クオンは何が起きたかわからず呆然としている。
ぶぉぉぉぉぉぉぉ!!!
その間も魔獣は暴れてセツナの上を転がる。
セツナの姿は全く見えない。
「せ……つ…………な?」
いかに頑丈な貴種と言えどもあれほど大きな魔獣に暴れられては助からない。
クオンは自分の中で何かが切れるのを感じた。
「てんめぇぇぇぇぇぇ!」
クオンは怒りのままに持っていた槍を突き刺す。
ばき!
軽快な音を立てて槍が壊れる。
だがそれでクオンの怒りは収まらない!
「セツナをかえせぇぇぇぇ!!!」
壊れた槍を捨てて思いっきり拳で殴りつけるクオン。
だが、パンパンという乾いた音を立てただけだ。
ブオン!
『げほ!』
ヤスナガが木に打ちつけられてたまらず腕から離れてしまう。
そして自由になった魔獣の爪がクオンへと振り上げられた!
「死ねぇ! しねぇ! 」
クオンは一切気づかずにただ殴りつけるのみ。
ドゴォ!
盛大な音を立てて魔獣の爪がクオンへと振り下ろされた!
ドゴォ!
盛大な音を立てて魔獣の爪がクオンへと振り下ろされた!
「クオン!」
イッペイが顔を蒼白にして、他の村人も目を背ける。
だが……
「死ね死ね死ねぇ!」
相変わらずクオンの叫び声が聞こえた。
「えっ?」
思わず様子をうかがう村人たち。
魔獣の爪は…………大きな岩に突き刺さっていた!!
「…………」
遠巻きに見ていた村人たちが呆気にとられる。
何しろいきなり大きな岩がクオンを庇うように現れたからだ。
「ちくしょう! ちくしょぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
クオンは相変わらず魔獣に拳打ち付けるだけだ。
何が起きたかわからずに呆然とする村人たち。
するとクオンを庇った大岩がグニグニと大きな拳の形に変わった。
その動きがクオンの肩に当たり、ようやくちらりと上を見るクオン。
「うわっ! なんだっ! 」
ようやく岩に気付くクオン。
「これは一体……」
ヤスナガが呆然と見ているとクオンの傍でゆらゆらと揺れている透明な人型がいた。。
「そうだ! こうやるんだ!」
何やらクオンの傍に居るマダラが叫んでいる。
「まさかマダラがやっているのか!」
ヤスナガもようやくわかってきた。
マダラが大岩を操作してるのだ。
拳に変わった大岩が魔獣へと向かって行く!
どこかの主人公のように叫ぶマダラ。
「飛田新地スマァァァッシュ!」
ドゴンッ!
大岩が叩きつけられたことで魔獣は数歩タタラを踏んで倒れこむ!
「思い出してきたぞぉぉぉぉ!!! 」
マダラがそう嬉しそうに叫ぶと次々と握り拳の形をした大岩が浮かび上がる!
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