第15話 再び捜索
のて……のて……
ヤスナガと話しているクオンの所に這いずるように何かが近付いてきた。
「うう~~。頭が痛いのです~~~」
セツナが泣きながら屋敷から出てくる。
どうやらあの後もこってり絞られたようだ。
「セツナ。九九の書き取りは終わったのかい?」
「終わりました……」
ぐすぐす泣きながら答えるセツナ。
そんなセツナを冷ややかな目で見てクオンが尋ねる。
「ちゃんと覚えたんだろうな? 」
「……(うるうるうる)」
「……やっぱいい」
涙目で哀願するセツナがさすがに哀れになり許してあげるクオン。
「クオンは優しいなぁ……」
困った顔になるヤスナガ。
「いっそこのままセツナを貰ってくれればわしも楽に「さぁ! 今日も頑張って魔物を探すぞ!」なるのになぁ……」
ヤスナガの声が聞こえないように大声で叫んで誤魔化すクオン。
すると、謎の生き物が声を上げた。
「ぷっぷ~♪」
どさっ
嬉しそうに鳴きながらクオンの背中におぶさる。
怪訝そうな顔のクオン。
「……なんだ?」
先ほどまで食べていたお菓子を放り出しておぶさっている。
そして嬉しそうに一声鳴く。
「ぷっぷ~♪」
「連れてけって言ってるぞ」
イッペイが笑いながら言う。
「……本当か?」
「多分な」
「適当な事言いやがって」
イッペイの言葉に嫌そうに毒づくクオン。
「どうやら離れたくないようだな」
謎の生き物の動きを見て面白そうに微笑むマダラ。
「ぷっぷ~♪」
「いいじゃないですか。プップちゃんも行きたいんですよね?」
「ぷっぷ~♪」
セツナの言葉に嬉しそうに答える魔物。
「仲が良いな。知能が同じぐらいだからか?」
「いやですね。そんな褒めないでください」
「……けなしてるんだが? 」
「私はこんなに賢くないです」
「獣以下の知能で満足なのか!」
馬鹿にしたのに逆にキレそうなるクオン。
「いいから背中から降りろ!」
そう言ってクオンは背中から振り落とそうとするが、意外にも握力が強く、なかなか振り落とせない。
「ぷっぷ~♪」
「連れてかないと離れないってプップちゃんは言ってますよ?」
「勝手に名前を付けるな!」
クオンは必死で振りほどこうとするが振りほどけない。
見かねてマダラが声を上げる。
「もう諦めて連れて行ったらどうだ? 時間も無いだろう?」
「しょうがないなぁ……邪魔するなよ。いいな?」
「ぷっぷ~♪」
嬉しそうに鳴いて背中から離れるプップ。
仏頂面のままクオンは声を上げる。
「……まあいい。ヤマシタさん達はすでに山に入ってるんだ。こっちも入るぞ」
「は~~い」
「ぷ~~~~♪」
一人と一匹は嬉しそうに答えた。
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