第14話 正体は『魔物』
「じゃあ、こいつがおぶさり幽霊なのかい? 」
「みたいですね……」
ヤスナガの質問に自信なさげに応えるクオン。
クオンはセツナと一緒に自宅に帰るとヤスナガが待ち受けており、セツナはそのまま首根っこを掴まれて屋敷の奥へ引きずられていった。
仕方が無いので次の日の朝にヤスナガの屋敷に行って報告したのだが……
「なんだこれ? 」
イッペイが不思議そうに唸る。
ヤスナガが不安そうに問いかける。
「わからんのかイッペイ? 」
「魔物で間違いは無いと思うんですけど……見た事もありませんね」
「ぷっぷ~♪ 」
当の本人はおいしそうに魔物用のお菓子をかじっている。
「魔物?」
怪訝そうな顔のマダラ。
するとクオンがこそっと教えてくれる。
(あとで説明しますけどそういう名前の生き物です)
(わかった)
その様子を怪訝そうにヤスナガにみられたので、誤魔化すようにクオンは尋ねた。
「普通の動物の可能性は? 」
「無い。蟲の翅が付いた獣はいない」
そう言ってお菓子をかじっていた謎の生き物をかかげるように持ち、下から覗く。
「それに見てみろ、チ○ポもマ○コもついてない。間違いなく魔物だ」
「魔物ってどっちも付いてないのか!」
「そうだよ」
言われてびっくりするクオン。
それを聞いて不思議そうな顔をするマダラ。
(お前もよくわかってないのか? )
(魔物の生態は魔獣使いの門外不出の秘技なんです)
魔物を育てて飼育できるのは魔獣使いだけだが、その飼育方法は彼らの秘中の秘とされている。
クオンが不思議そうに尋ねる。
「いつも思うんだけどどうやって増やしてるの? 」
「……秘密だ。門外不出なんだ」
「ちょっとぐらいいいと思うけどなぁ……」
「無理だ。魔物商人は配合方法を教えてもらうときは必ず『禁忌』をかける」
「……マジで?」
『禁忌』は『契約』と同様に神官魔法で必ず実行させる魔法だ。
よく、秘密を隠す時や罪人への罰として使うがこれも『契約』同様に融通が一切聞かないので滅多に使われない。
「本当だ。だから拷問されようが、言葉巧みに誘導しようが絶対にしゃべれない」
「そうなんだ……」
改めて魔物使いの掟の厳しさに唸るクオン。
「勝手に類推する分には関係が無いが、そうやって手に入れた秘術を簡単に売り飛ばそうとはしないし、見つかったら魔物商人が総力を挙げて叩くことになっている。これも『禁忌』がかけられているから絶対行う」
「怖い怖い」
クオンは怖そうに身震いする。
すると……
のて……のて……
這いずるように何かが近付いてきた。
用語説明
魔物
魔物使いが独自に開発する謎の生き物。
増やし方にある種のルールがあるのだが、門外不出になっている。
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