女神も地上に興味はあるのです
「ふんふーん♪」
ファミレスでハンバーグを食べる女神アルバトロス。
ドリンクバーとかいう文化に触れてみたくなり、職務を放棄して地上に降りてきていた。
「なかなか楽しいじゃないの」
ボタンを押すだけで次々と色んな味の飲み物が提供される。
見様見真似でコップを手に取り、ウーロン茶のボタン、炭酸入りオレンジジュースのボタンと次々に押してみる。
正直、ただ液体が出てくるだけの装置だと侮っていたのだ。
味はともかく、なかなか面白い装置だと思い、何度も触っていた。
それにしてもサラダもよく見たらカット済み野菜だし、スープというのは上に乗っている盾のことかと思っていた。
しかも、よく見たら盾じゃなくて金属のフタだし……
あの男は一体なんのスキルが欲しかったのだろうか?
まぁいいや、いちいち与えたスキルのことなんて覚えてないし。
「勘違いして変なスキルになっちゃったかもしれないけど、別に良いわよねっ」
そんなことよりも、地上の食事が美味しくて仕方のない女神アルバトロス。
「あっ、もしかして……アレも違うのかしら……」
コーヒーや紅茶とかいう飲み物用に置いてあるアレ。
ピッツァァやパァスタァなる食べ物に皆が振りかけているアレ……
仕方ない……私が悪いわけではないのだ。
全ては『ドリンクバー(スープ・サラダ付き)』なるものをスキルに選んだあの者が悪いのだ。
「うーん、おいちぃ♪」
女神は男のことなど忘れてしまおうと思っていた。
きっと神界に戻るとまた別のゴミが引っかかっていたりもするのだ。
サボっているこの瞬間くらいは、気持ちよく食事をしていたい。
ただ、お金を持たない女神にとって今日が忘れられない1日になってしまったのは、また別のお話である。
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