第22話

指令室に入ると、不安そうなライブ関係者や葵たち。明日香を囲むように会長達、その横に意識を失っている子たちを守るようにこちらの睨みつけている少年が見えた。


「会長、問題というのは?」


俺は問いかけながら、明日香のもとに向かった。


「明日香を疑っているなら、誤解です。極一部の人には伝えていましたが、彼女は俺の秘密を知っていて、かつ、俺の婚約者です。簡易型のガイザーブレスを渡してるので情報は共有してます。」


「いや、将兵。その件に関しては、みずほちゃんから聞いたよ。ったく、そうならそうと言ってくれればいいものを。まぁ、なんにしてもおめでとう。っとそのことは後で聞く尋問するとして、そこの少年たちなんだが・・・。」


不意に両肩を強引に振り向かされた。


「おい、ショウ!どういうことだ!婚約者ってなんだ?詳しく説明しろーーーー!」


そこには目を血走らせた混乱状態の浩平が、言葉の勢いに比例するようにがくがくと揺さぶってきた。


「お、お、お、落ち着け浩平、い、今はそんなこと言ってる場合じゃないだろう。」


「そんなことなんかじゃない!これは俺達ファンにとっては重大な事件なんだ!おまえは、やってはいけないことをやったんだ。このテロリストめ!」


予想外の口撃に全員呆気に取られてしまい、時が止まっていた。そんな静寂の中、浩平の叫び声のみ響き渡っていた。


バキッ


そんな音と共に静寂が破られ、気付けば思いっきり浩平の頭を度突き倒している葵の姿があった。


「こっ、のっ、バカっ!!状況を考えなさい!!状況をっ!!空気読みなさい、空気をっ!これだからアンタはっ!私だって聞きたいことがたくさんあるけど今じゃないってわかるわよ。・・・それと将兵、あとでしっかりとオ・ハ・ナ・シ聞かせて拷問させてもらうわよ。」


浩平の襟をつかんでお袋のそばに戻っていった。気を取り直し、メンバーで集まりそれぞれの情報を交換し、『イデ』に解析を頼んだ。


「この状況のカギとなるのは、そこの少年たち・・・か。」


俺は少年に話を聞こうと近づいた。警戒し少年が身構え時、その後ろで気を失っている子たちが見えた。眼鏡をかけた少年、筋肉質な少年、ボーイッシュな少女、そしてロングヘアーの少じ・・・・・って


「まどかちゃん!」


視界に写った瞬間、俺は少年を押しのけ、気を失っているロングヘアーの少女を抱きかかえた。


「将兵、知り合いか?」


「ああ、会長。この子は近所の子で天龍 まどか。昔みずほとよく遊んでいた子だよ。でも、なんでまどかちゃんが?・・・会長が言ってたのは、彼女のことなんですよね。」


「彼そうだ。それと、残りは深川たちを襲ってきたのでやむなく対処したそうだ。」


「一度彼らを起こして話を聞いてみよう。深川たちも彼らの方を頼む。」


やさしく傷つけないよう彼女を揺さぶった。


「う、う~ん・・・。」


「気が付いた?まどかちゃん。」


ぼーっとした表情をしていたが、俺に気付くと抱き着いてきてそのまま胸に頬ずりしてきた。


「あー、しょうへいおにいちゃんだ。すーっ、はぁー。お兄ちゃんの匂いがするぅ~。しょうへいおにいちゃんだ・い・・す・・・き・・・?」


俺の視線に気付いたのか、あたりを見回し状況を認識した瞬間、ばっと飛びのき顔を赤らめあたふたしだした。


「あ、あのね、将兵おにいちゃん。違うの、これは、えーっと、つまり、その、違違わないけど違うの。お兄ちゃんのことが嫌いなんじゃなくて、お兄ちゃんのことは好きだけど違うの。そうじゃなくてね、あの、その、え~と・・・」


「落ち着いてまどかちゃん。大丈夫だからね。」


軽く頭をポンポンとしていると、若干顔話赤いままだが落ち着いてくれたみたいだった。


「さて、ちょっとしたハプニングがあったが、君達はこの件の関係者だと思っている。ただ、俺達が持っている情報と避難時の遭遇戦からのデータを今、ブレイブベース管理A.I『イデ』で解析にかけている。君たちが持つ情報を教えてもらえないだろうか。」


一息つき彼らの反応を見ようと目を向けた。彼らは何やら相談しているようだったが、こちらの視線に気づき相談をやめ、警戒するようにこちらを睨んできた。考えてみれば彼らとのファーストコンタクトは最悪だったなと思い、敵対心がないことを告げようと口を開きかけた。


「あなた方はいったい何者なんですか。日向に聞いたが、外の敵は一掃し、避難完了していると。そして、ここにあるものはどう見ても地球の物ではないですよね。」


「それに、ここはどこだ?俺達はドームで気を失ってたはずだ。」


「お兄さんってまどかちゃんとどういう関係なの?あんなまどかちゃん初めて見た。」


「将兵おにいちゃん、一体どういうことなの?どうしてお兄ちゃんがそんなことをしてるの?私はおにいちゃんを守るために頑張ってきたのに・・・。」


が、眼鏡をかけた少年を筆頭に目を覚ました3人が矢継ぎ早に現状を問いただしてきた。若干質問がずれている子もいたが・・・。


「まずは謝らせてくれ。緊急時とはいえ手荒な行動に出たこと、申し訳なく思う。」


ブレイブスワット全員で頭を下げた。


「そして、ここはブレイブベース。ブレイブスワットの基地だ。君達を保護したのはブレイブスワットのメンバーだ。彼らと共にドーム内で避難誘導していたのはガクレンジャーの司令官とスタークスアイゼンのパイロット、G.O.Gの長官。外で避難誘導及び戦闘を行っていたのがガクレンジャーだ。俺は、鈴城将兵。ブレイブスワットであり、ガクレンジャーであり、スタークスアイゼンのパイロットだ。」








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