第20話

sideみずほ


ステージ上では、明日香さんがスタッフの人達に指示を出して、客席に向かって話始めた。


「皆様、先ほどから続いている振動の原因が判明しました。今現在、ヒュドラジア帝国という国により攻撃を受けています。皆様の安全確保のため、これよりスタッフの誘導のもと、地下のブレイブスワットの基地であるブレイブベースに避難してください。このドームもシェルターとしての機能を有しています。焦らずに節度をもった行動を心がけてください。」


明日香さんが話し始めたら、観客はすぐに静かに耳を傾けていた。


「すみません。週刊文秋の木ノ上雄三です。明日香さん避難の前に2つ質問させてください。おそらく、皆さん聞きたいことと思いますので。よろしいですか?」


話終わると、その隙をついて、腕章をつけた若い記者が手をあげメモを取る体勢で聞き始めた。


「わかりました。皆様が不安なことも理解しています。答えられることであれば返答します。ですが、手短にお願いします。」


「では、ひとつ目、先程抱き合っていた男性とはどういう関係なんですか?言い方は悪いですが、この状況で抱き合いキスをするなんて非常識ではないのですか!」


記者さんは息を荒げて質問というより、お兄ちゃんの不満をぶつけているようだった。回りを見渡すと会場にいる男性のほとんどが同じ雰囲気になっていた。そう、嫉妬。嫉妬の念が渦巻いていた。


記者さんは息を整え続けた。


「二つ目は、何故状況を把握して、この地下にブレイブベース?というものがあと知っているんですか?」


明日香さんは記者の質問に対して静かに答え出した。


「では、お答えさせていただきます。ひとつ目の質問の男性ですが、彼は鈴城将兵。先程お話ししていた、お付き合いさせていただいているかたです。」


「では何故、恋人であるあなたをおいて行ったのですか?大切と思うならそばにいると思うのですが?」


「彼は、現状を報告しにステージに上がり、皆様をブレイブベースへと避難させるよう私に指示なさいました。そして、私が抱きついたときの表情から、安心させようとしてキスをしてくださいました。その後は、先行した仲間の皆様を追って、付近の住民を避難させるためにこの会場を出ていかれました。」


「何故彼がそのようなことを?それに仲間とは?」


「彼は、ガクレンジャーです。そして、ブレイブスワットでもあります。申し訳ありません。質問はここまでとさせていただきます。まだまだ質問はあるとは思いますが、いずれ時間を作りますので、その時にお願いいたします。それでは皆様、スタッフの指示にしたがって避難を開始してください。 」


明日香さんがそう言うと、 全てのドアが開放され スタッフの方が 誘導を開始しました。 私たちは一塊となり スタッフの誘導の元 、ブレイブベースへと避難を開始 しました。


side鷲崎


逃げ遅れた観客がいないかを確認をしていたら、エントランスで言い争う男女の声が聞こえてきた。


俺は急いで声のする方へと向かうと、そこには、艶やかな黒髪の美少女と彼女の手を引っ張っている高校生くらいの内気そうなでも、なぜか意志の強そうな少年を見つけた。近づいていくと、どうやら少女は外に出ようとしており、それを少年が止めようとしているようだった。


俺の姿を見て、少女は「しまった!」という顔をして、少年は彼女を止めるように頼んできた。


「ここは危険だから、急いで地下にあるブレイブベースへ避難を。」


「っ!?すみません。大丈夫ですので、私に構わないでください。それと彼をお願いします。」


少女はどこか焦っているように見えたので、このままじゃ不味いと感じ強引にでもつれていくことにした。


「すまないが、今の君を外に出すことは出来ない。一緒に来てもらおう。詳しい話はそこで聞く。」


俺は、少女の腕を強引に掴み抵抗する彼彼女を引きずるように歩き出した。


「放してください!私はやることがあるんです。行かせてください。」


焦燥感に駆られた彼女を行かせるわけにはいかず、落ち着かせるため首トンをして意識を失わせた。


「こちら鷲崎。外に出ようとしている少女を捕まえた。一度ブレイブベースへ戻る。皆は、外部からの避難が続いているようだから、引き続き避難誘導をしていてくれ。」


全員の返事を聞いて俺は、少年を引き連れ、ブレイブベースへと向かった。


side深川


会長からの通信を聞き終え、俺と増上寺は再び外部からの避難民を誘導に戻った。しばらく続けていると、流れに逆らって外に出ようとする2人の少年と1人の少女を見つけた。その強引さに危険なものを感じて俺たちは、彼らを止めるべく近づいて行った。


俺たちに気づいた彼らは、より強引に押しのけて進もうとしていたが、何とか捕まえ、暴れる彼らを壁際へと引っ張っていった。


事情を聴こうと拘束を緩めた瞬間、俺たちに襲い掛かってきたので、とっさに反撃してしまい彼らの意識を刈り取ってしまっていた。


とりあえず、また暴れられたらたまらないので、彼らを手錠で拘束し、彼らを連れブレイブベースへと連れていくため、全員に通信をつないだ。


「こちら深川、外に出ようとしていた少年2人と少女1人を発見。襲ってきたので、拘束した。こちらもブレイブベースに戻ろうと思うので、誰かカバー出来ないか?」


『こちら竜胆。こちら落ち着いたので、カバーに入ります。』


通信を終え、俺たちも少年たちを引き連れてブレイブベースへと向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る