第14話
「い…ん!ち…おに…ゃん!お兄ちゃん!」
ハッと我に返ると、ジト目のみずほと物珍しそうな目のお袋、暖かい目をしている料太が見えた。
「話の途中でイチャつかないでよ!お兄ちゃんってそんなタイプじゃなかったよね!いつからそんなことできるよ…じゃなくて、話の続きをはやく!」
みずほに急かされて、撫でるのをやめ、姿勢をただすと、もっと撫でてという明日香の誘惑にも耐えて話を再開した。
「まぁ、みんなのお陰で立ち直ったあとは、決意新たに戦い続けた。『生きて勝つ。』父さんの死で、守るということの本当の意味に気づいた俺は、新たな仲間と共に、新装備でパワーアップしながらヴァーミリオン帝国を討ち果たした。」
待ちきれないかのように料太が口を開いた。
「ヴァーミリオン帝国との戦いが終わり、俺達はそれぞれの道を歩んでいった。俺は、料理を学びにフランスへ行った。他のメンバーとの連絡は出来たが、将兵、お前との連絡は出来なかった。数日前にお前から予約が入ったときには驚いた。ずっと保護プログラム掛かったまんまだったからな。でも、安心した。明日香さんと共に、元気にやっていたようでな。……で、あれから何があった。なぜお前だけ解除されなかった。宇宙の邪教徒とも戦っていたのか?」
俺は頷いて続けた。
「ああ、その事はあとで話すよ。その戦いの前にも俺は、戦いに巻き込まれていたんだ。」
「でも、お兄ちゃん。邪教徒との戦いの前ってなにもなかったと思うんだけど。」
「ああ、地球ではなかったよ。そうだな……あの日、大学入学が決まった俺は、羽を伸ばそうと近くの山の展望台に登ったんだ。途中で女性の悲鳴が聞こえたから、様子を見に行った。そこで、2人の少女を武装した10人もの兵士が取り囲み、今にも引き金を引こうとしていた。俺は、兵士を無力化し、少女達を助け出した。これが、ジェンとクリス二人の少女との出会いだった。自分の騎士になれって高飛車に言われたことにカチンときて、ジェンと口論していたら、クリスから自分達の素性、ネルティエルターナ皇国第三王女ジェニファー・フランシス・ネルティエルターナとその護衛管であるクリストファー・シノディア・カストゥールであると告げてきた。今の彼女たちの立場、皇国は現在軍縮を進めており、それを快く思わない軍国主義を掲げる宰相によるクーデターが発生。皇族のほとんどが捕らえられ、彼女達二人は辛くも脱出。辺境であるこの星に逃げ延びてきたと語った。詳しい話を聞くうちに、彼女達の想い、そしてその瞳を見て協力することにしたんだ。戦っていくうちに、国民達からどれだけ慕われているかがわかった。そして、宰相の非道さもね。そんなとき旗印として、皇国に古くから伝わる『赤き龍騎士伝説』の騎士鎧のレプリカを与えられた。」
明日香が淹れてくれたコーヒーで喉を潤し、捕らえられ、脅されて兵器研究に協力されていた第4皇女 ステラシャイン リディア ネルティエルーナを救い、発射間近の爆弾を破壊した話をした。
そして、これまで誰にも話していなかった爆弾破壊後の話を始めた。
「爆弾破壊の余波で、気付けば俺達は白い空間にいた。そこで女神という生命体に頼まれ、邪神によって滅亡の危機にある異世界、過去のネルティエルターナへ跳ばされた。言語理解、アイテムボックス、魔法適正などよくある異世界召喚特典を与えられ、ステラと協力し、邪神をなんとか討伐した。その後、世界の浄化の為、住人達を女神達の力で1000年前のネルティエルターナ本星に転移。生活基盤を整えたら、俺達は破壊直後の時間へと戻った。このときになって、赤き龍騎士伝説の騎士が俺だと教えられた。」
捕らえられていた女王陛下と皇族を助けだし、世論を味方に付けるために正体を明かしたといったことから、宰相の自爆特攻を阻止してクーデター終結までを一気に話した。
そして、赤き龍騎士フィーバー中のネルティエルターナからこっそり地球に帰ったことで、逆に火がつき、俺と交流目的で、地球との国交を開こうと接触を開始し今に至っていることも話した。
一息ついたとき、お袋が疑問を口にした。
「でも、その話が本当だったとして、将兵、あなたずっと家にいて大学に通ってたじゃない。いつ戦っていたのよ。」
「そうだよ。お兄ちゃん、家にいたじゃない。もしかして、その間だけ影武者だったの?」
「いや、俺本人だ。こればかりは詳しく言えないけど、ネルティエルターナの科学力と女神の祝福のお陰で、助けに向かった直後の時間に戻して貰ったんだ。だから、あの時期は地球とネルティエルターナで俺が2人同時に存在していた。そういうわけだよ。」
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