第13話

「始まりは、15年前イビルサタナーによって地球が狙われたことだった。当時の俺は、星の守護者マーリンによって選ばれ、カイザーと共に戦っていたんだ。」


「ちょ、ちょっと待ってよ。お兄ちゃん。15年前っていったら、まだ、10歳よね。冗談よね。そんな歳で戦えるわけないじゃない。」


「うん。そうだよ。だけど、戦うと言っても協力していたって言ったほうが正しいかもしれない。何故ならカイザー達の力の源は、タリスマンを通した俺の想いだったから。」


それから俺は、当時を思い出しながら、一年にもわたる戦いについて説明を交えて、簡潔に語った。

何度も質問されながら、次の戦いの話に移った。


「機械生命体が攻めてきた時には、転入生の雄二と共にスタークスアイゼンに乗って戦った。そのなかで、何度も明日香と出会っていたけど、自分の気持ちには気づいてなかったんだ。ある時、今までとは違うものすごく強い敵が現れた。敵の攻撃がコックピットの装甲を貫き、紙一重で死は免れた。そんな状況に陥って、俺は一度逃げた。でも、ニュースで逃げ惑う人々のなかに、お袋やみずほがいて、明日香もそこにいることに気づいた。その時、明日香が何よりも誰よりも大切な存在と気づいたんだ。明日香を失う恐怖の方が死の恐怖よりも怖かった。そのことに気づいた俺は死の恐怖に打ち勝って、再び戦いのなかに飛び込んでいけたんだ。」


当時の恐怖や、本当の意味で戦うと決意したあの時を改めて、考えながら話していた。


「次は、宇宙の犯罪シンジケートとの戦いだね。」


「ねぇ。なんなの?何でそんなに戦ってるのよ。おかしくない?ねぇ、おかしくない?…じゃあ、これまであった戦いは、全部お兄ちゃんは参加してるの?ないよね。ないわよね。どうなの?お兄ちゃん!」


ヴェヒター達との話をしようとしたら、みずほに詰め寄られた。


「まぁ、そうだよ。みずほの言う通り関わってるよ。順を追って説明するから、落ちついて。……あの時は、犯罪シンジケートを追って、地球に訪れたヴェヒターと不慮の事故でぶつかってしまった。瀕死の重傷だった俺は、ヴェヒターと体を共有することで時間をかけて治療していったんだ。治療が完了するまでの間、協力して犯罪シンジケートと戦っていったんだ。」


ヴェヒターとの思い出を、貰ったメダルを眺めつつ振り返りながら語っていった。


気付けば用意されたスイーツはほぼ無くなっていた。


時計を見ると、23時を回っており、話始めてから4時間もたっていた。


まだまだ話の途中だが、一旦休憩を挟むことにした。


ここからは、あいつも関わってくるし、その後の話も聞きたそうにしてた、いや、俺が聞いてほしいと思っているから、内線をかけて料太を誘ってみた。


しばらくすると、追加のスイーツとフルーツを携えて、ムッチャいい笑顔でやって来た。


「さてと、全員揃ったところで、続きを始めようか。次はヴァーミリオン帝国との戦いだね。高校に入ってすぐに、俺や料太他3名は早瀬先生に呼び出されて、このブレスレットを渡され、学園戦隊ガクレンジャーとして戦えと言われたんだ。」


そう言いながら俺は、ブレスレットを装着し「転移無双 ガクレンジャー」と呟き変身してみせた。


ほんとに変身したことで、お袋とみずほは驚き、今までの話が事実だと、再認識したようだった。


「俺達は、最初の頃は訳もわからず戦っていたけど、戦う意味を見いだしていったんだ。ある時、敵の攻撃によって、俺達は変身出来なくなってしまったんだ。ちょうどその頃、新たなスーツの開発が行われていて、変身出来るようピッチをあげていた。でも、敵はお構い無しに攻めてきて、俺達は我慢できず、生身で飛び出し戦った。結果、追い詰められた俺達は敵幹部の攻撃で命を落としかけた。もうダメだと諦めかけたとき、父さんが俺を庇って命を落とした。そこからしばらくは、お袋達も知っての通り、お袋達から父さんを命を奪った自分が許せなくて、周りからの悪意に晒されて、心がポッキリと折れ、自身が傷つくことも構わず戦いに明け暮れた。挙げ句そんな無茶に体は付いていけず、瀕死の重傷で病院に運び込まれた。あの時の明日香に言われたこと、お袋達の姿を見て立ち直ることが出来た。そこからは、戦うこと守ることその本当の意味を理解して戦っていけたんだ。いまさらだけど、料太も本当にありがとな。あのとき支えてくれて。」


「いきなり何を言い出すかと思えば、当たり前だろ、仲間を助けるのは。それに俺は大したことはしてない。むしろ明日香さんの方がすごいじゃないか。お前を守るため、支えるために、アイドルになって。今では世界の歌姫だ。」


料太は照れて矛先を明日香へと逸らした。


「冴島さん。私も大したことはしていませんよ。将兵さんの心を守りたくて始めたことですので。少しでも将兵さんが安らげるようにと。」


微笑んで見つめてくる彼女を愛しく想い、思わず抱き寄せた。


「ありがとう、明日香。君がいたから今の俺がいる。ほんとにそう思うよ。」


頭を撫でながら、俺は感謝を伝えた。

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