第12話
特殊科学研究所。聞いたことがなかったので、説明を求めた。
「特殊科学研究所は、元々、ネルティエルターナの技術を研究するための施設だった。ある日、突然この星は狙われていると発表した。その後、説明要求を何度も送ったが、今現在沈黙を続けている。政府経由で説明を求めてみたが、こちらで対処するの一点張りで、事態は進展しなかった。不確かな情報だが、対応出来るよう、一応心に留めておいてほしい。すまないね。神丘君と一緒にいたということは、彼女と進む決心がついたと考えていいんだろう?こんな時に、こんなことを頼んで申し訳なく思う。」
「わかりました。いえ、お気遣い感謝します。知っている、それだけでも大きなアドバンテージになりますよ。それに、もう歩みを止めるつもりはありません。未来へと進んでいきます。どんな壁が立ち塞がろうともね。だから大丈夫です。それと、ありがとうございました。」
しばらく近況を報告しあい、司令と別れ、明日香達と喫茶店で合流した後、予約していたレストランに向かった。
「お、お兄ちゃん。このレストランであってるの?場違いじゃない?ここって超高級フレンチよね?」
「将兵、お金は大丈夫なの?まさか、明日香さんに支払わせようとしてるんじゃないでしょうね?将兵の給料じゃ無理な金額じゃない。」
レストランの前で二人が固まっていた。まぁ、今回は明日香もいるし、聞かれたくない話もあるということで奮発した。
「とにかく、個室にしてるし、お金も大丈夫だから。ここでは邪魔になるから、さっさとはいって。」
恐る恐るといった感じの二人の後に続いてレストランに入った。
受付で予約名を伝えると、「少々お待ちください。」と告げられ、待合室へと通された。
しばらくして、俺たちは個室へと案内され、席についた。
「ようこそ!わが城へ。将兵!明日香さんほどじゃないが、こころゆくまで俺の料理を堪能してくれ!それと、おめでとう!ようやくだな!」
いきなり乱入し、話しかけてきたのは、このレストランのオーナーシェフであり、高校の同級生元ブラックの冴島 料太。保護プログラムによって俺達は表向きは接点がないことになっていることを忘れているみたいだ。
怪訝な顔をしているのに気づいたのか、
「いやぁ、わざわざお前から連絡がきたうえ、4名で予約ときた。もう大丈夫なんだろうと判断したまでだ。それに、明日香さんがきたということで、そっちに挨拶に向かったともとれる行動だしな。……では、楽しき一時をお過ごしください。」
最初は、ビクビクしながら食事をしていたみずほだったが、あまりの美味しさに次第に笑顔が増えていった。
そして、怒濤の質問攻めをお袋と共に明日香へとおこなってきた。
これでもかっていうほどの食いつきに、一旦落ち着くよう声をかけようとした瞬間、ギンッと音がするくらいの眼光で睨まれた。今私たちのターンとでもいうような目付きだった。
一瞬ビクッとした俺の手に、優しく手を重ねて明日香は、大丈夫です。お任せくださいとでもいうように微笑んだ。
デザートが並べられる頃には、女子3人は仲良くなっており、認められたようで安心した。
隠し事を全て告白しようと口を開きかけたとき、ドアをノックされた。
返事をすると、冴島と数名のスタッフが、大量の一口サイズのスイーツと、コーヒー紅茶ジュースなどの飲み物を持ってきて、セッティングし始めた。
こんなの頼んでないぞという目で冴島を見たら、一瞬ニヤッと口元を緩めた。
「将兵、これは俺からの奢りだ。何を話すにしても、スイーツは心の安定剤だ。どのみち、腹は減るだろうから、好きなだけ食べてくれ。もし足りなかったら、そこの内線からかけてきてくれ。」
「ここにあるだけで充分だ。というか、ありがとうな、料太。気を使ってもらって。助かったよ。」
「いいさ、お前が幸せになれるなら、何だって協力する。それに、心配はするさ。大丈夫とわかってはいても。大切な仲間だからな。それと、朝まで時間はたっぷりあるからな、足りなくなるかもしれないだろ。遠慮せず頼んでくれよな。最後に、他にご要望があれば、用意致しますがいかがなさいますか?」
オズオズといった感じで、みずほが手を上げた。
「ごめんなさい。要望ではないんですが、お兄ちゃんとはどういった関係なんですか?今までうちにも連れてきてないし、話にも上がってなかったから。」
「その件に関しては、これから将兵が語ってくれるだろうから、今は秘密で。」
くるりと見渡して、料太は部屋を退出した。
俺は深呼吸し、改めて覚悟を決め、口を開いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます