十一年前      十四歳


「地球は今、狙われている。」

巨大なUMAと衝突した途端、気付けば上下左右もわからない真っ白い空間で俺は何者かによって警告を受けていた。

お前はエ〇ジかと心の中でツッコミを入れながら、嫌な予感をひしひしと感じていた。なので現実逃避を試みようとしたが、

「すみません。あなたは今私と衝突したことによって、生命の危機に瀕しています。助かるには私と融合し、回復させるしか方法がありません。」

聞き流せない言葉を聞き、結局俺は折れるしかなかった。

「私は、宇宙警察警備課の刑事でヴェヒターです。この星に眠る闇結晶を狙って多くの犯罪シンジケードが人員を送り込んで来ようとしています。理不尽だと私も思っています。それでも、あなたを巻き込むことを心苦しく思ってもいます、ですがどうかこの星ひいては宇宙を守るために力を貸してください。」

どうやら、この話を受けなければ俺は死ぬし、地球もまた危険らしい。友との約束もあるので、共に戦うことを了承した。



「わたしがキターーーーーー!」

日に日に敵の攻撃力が上がっていった結果、ついに力及ばず、力尽き倒れ、とどめを刺されようとしていた。その時、突然目の前に筋骨隆々な巨人が、そんな叫びとともに現れた。

戦闘中に現れた珍客に気を取られている間に、状況を確認するため、バックステップで敵との距離を取った。

俺とは逆に、ヴェヒターは彼に向かって嬉しそうに呼びかけた。

「アングライファー!来てくれたのか!」

アングライファーと呼ばれた巨人は、豪快なサムズアップを決めて、こちらに向かって何かを放り投げてきた。

「本部で開発された強化スーツだ。手伝いついでにこいつも届けに来た。新兵器のお披露目だ。まだ、戦えるだろ。」

「もちろんだ!イリュージョンソレスター!ウェイクアップ!!」

ヴェヒターの叫びと共に全身にこれまで感じたことのないようなエネルギーがあふれ、能力が底上げされるのを感じた。

「こいつでとどめだ!ブリッツファイアー!!」




本部からシンジケード壊滅の連絡を受け、安心していたところ、護送中のシンジケートのボスが事故により逃亡し、地球を攻撃してきた。

満身創痍になりながら撃破したところで、ヴェヒターは本部より次の任務を受領した。

「今までありがとう将兵。君と共に戦えたことを誇りに思う。今後君の人生に幸多からんことを。そして、君の望みが叶うことを遠い星の海から願っている。それと友情の証としてこのメダリオを受け取ってくれ。もし、地球が危機的状況になったら、このメダリオを掲げて私の名を叫んでほしい。どこにいようとも駆けつけることをここに誓おう。」

俺がメダリオを受け取ったのを確認すると、ヴェヒターは東の空へと飛び立っていった。



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