第47話 留学初日のジョン
翌朝ジョンを交えて登校したが、コバたんはジョンを警戒しており、いつもより少し膨らんでいるし、絶対に届かない距離をキープしてジョンを睨んでいる。
「おはよう、清、真太郎」
「おはよう桜子、ヒロ」
ジョンは手続きのために職員室に向かったので教室には桜子とヒロの2人で向かった。
「ヒロの友達は?」
「ジョンは職員室だ。1学年1クラスだからどうせこのクラスに入るから後で会えるぜ」
「どんな人だった?」
「数学とアニメが好きと聞いて連想していた人物像と違ったわ」
「どう違ったの?」
「青白く無かったし、大きくて筋肉質だったし、眼鏡をかけていなかったし、チェックのシャツを着ていなかったし、頭にバンダナを巻いていなかったわ」
「…桜子のイメージは極端だぞ」
「私の想像も桜子と同じだったわ」
「清まで…」
桜子と清が抱くイメージに驚く真太郎だった。2人とも怪しいネット掲示板を見過ぎじゃないか心配になった。
「みんな席につけー」
担任の先生がジョンを連れて教室に入ってきた。
「アメリカから短期留学に来たジョン君だ。ジョン君は日本通で日本語も不自由なく話せるから仲良くしてな!さあ自己紹介して」
「ニュージャージーから来た。ジョンと呼んでくれ。スポーツフィッシングとアニメと漫画とゲームが好きで、1番好きなゲームはカードゲームの格闘遊戯だ。ヒロとは小さな頃からの友人で留学中はヒロの家にホームステイしている。よろしく!」
「席は真ん中の1番後ろね」
ジョンが席に着くと、いつも通り授業が始まったが休み時間になると質問攻めだった。
「格闘遊戯の大会に出場するために留学を計画したのか?」
「他にも目的はあるけど1番の動機だよ。毎年、世界大会は日本だから」
格闘遊戯好きな男子生徒たちと早速盛り上がっている。スマホ版格闘遊戯のIDを交換してフレンド登録して休み時間の度に楽しそうだ。
「ずいぶん楽しそうね」
「ジョンは数あるゲームの中でも格闘遊戯が1番好きなんだ。あんな風に同じ年齢の生徒と一緒に学生生活を送るのは初めてらしい。格闘遊戯好きな同年代ってだけで最高に楽しいんじゃないか。俺は“モンスター・ハンティング・ワールド”くらいしかジョンと共通の好みのゲーム無いし」
「飛び級した天才ならではの悩みねえ」
「ジョン、昼飯は格闘遊戯好きで集まって食うのか?」
「ああ。まだ全然話し足りないよ!」
「じゃあ昼飯は別行動だな。放課後はどうする?」
「ゲーム同好会に誘われた!」
「俺たちはインフォメーションテクノロジー部だから待ち合わせて一緒に帰ろう。まだ道を覚えていないだろう?」
「サンキュー!」
ジョンは格闘遊戯好きな男子生徒のグループに違和感なく溶け込んだ。留学初日とは思えない馴染みっぷりだ。
「コバたん、機嫌を直して」
「クポー!」
帰りも天敵のジョンが一緒と聞いてコバたんがグズっている。
「悪いな、あの様子じゃあ直ぐにも俺の案内は必要無くなりそうだから、ジョンが道を覚えるまで我慢してくれ」
「ッポ〜…」
仕方がないという表情のコバたん。
「悪い!待たせたな」
焦った様子のジョンが走って来た。
「そんなに焦らなくても大丈夫だ」
「桜子も待たせてごめん」
「良いのよ。お友達が大勢出来て良かったわ」
「留学1日目はどうだった?」
「すっげえ楽しい!格闘遊戯の話がこんなに出来ると思っていなかったよ。世界大会は個人戦でエントリーする予定だったんだけどチームでも出ようかって話になって、週末に集まって強い組み合わせを探すことになった」
「良かったな」
「ガッチャ!」
「サンキュー。ヒロが受け入れてくれたおかげで日本に来れた。学校って楽しいな!」
このオスは大きい子供なので自分が大人になって我慢してやるか…と思うコバたんだった。
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