第6話 不発!
「ねえ、確認なんだけど、キリカはどんな妖術が使えたっけ」
「わたくしの得意な型は
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「なるほど……じゃあ、これから
「えっ、でも」
「あれはオーバーキル、えっと……戦力が過剰なのよ。霊力の消費も激しいし、あんなザコ相手にいちいち使ってたらすぐにバテるわ」
むしろ『くくり姫』をプレイしていた私からすると、あれに妖術を使うこと自体がもったいない感覚だけど、こればかりは妖術の試験なのだから使わないわけにもいかない。
「で、でもそれで倒せるでしょうか」
「平気よ平気。
私が早口でまくしたてると、希里華はきょとんとしていた。
森の静けさがやけに耳に刺さる。
……しまった。まさか、こんなところでオタクっぽさが露呈してしまうとは。
「ルリさま、すごいです! まるで指南役の方みたいでした!」
「そ、そう?」
まあ、これでも『くくり姫』はやり込んでますし?
私が得意げにしていると、希里華は一転して不安そうな表情を浮かべた。
「でも、わたくしばかりが戦っていて、ルリさまの討伐数は大丈夫なのですか?」
「あ、あー、それね。まあ、なんとかするわよ」
嘘ではない。
試験の結果が出るまでには、しっかり言い訳の理由を考えるつもりだ。
「ならいいのですが」
「……ちなみに、キリカは妖術を使うときってどんな感じにやってるの? ほら、こういうのって人それぞれクセとかあると思うし、あくまでキリカの場合はどうなのかなーって」
「そうですね。術のイメージを思い浮かべて、それから」
「……それから?」
希里華は両手を前に差し出す仕草をすると、口を一文字に引き締めた。
「ぐぐぐーって、霊力をこめるんです」
「……なるほどね」
ダメだこりゃ。
この子は人にものを教えるのにたぶん向いていない。
とはいえ、ものは試し。
私も希里華にならって両手を前に差し出してみた。
妖怪に意識を乗っ取られるバッドエンドでは、心葉瑠璃(妖体)がラスボスになるのだけど、そいつの使ってくる妖術が闇か水なのだ。
つまり、妖怪による闇堕ち要素が闇だとして、もともと瑠璃の使える妖術はおそらく水系統。
さらに使ってきた術を思い出す限り、当てはまる型はおそらくこれだ。
私はその型の中でも、最も簡単な妖術を発動した。
「術式
気合の入った私の声は森に吸い込まれて消えた。
そして、なにも起きない。
「……ま、考えてみれば、こんなところで霊力をムダ遣いするわけにもいかないわよね」
怪訝な表情を浮かべる希里華から目をそらし、額をぬぐった。
たいして暑くないのに汗が止まらない。
「……ねえ、私の得意な型って
「はい、それはもうルリさまの
推測は間違っていなかった。
間違っていたのは妖術の発動方法そのもの。
手取り足取り教えてくれる先生なしでは、やはりムリみたいだ。
私たちは妖怪退治を再開したのだった。
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