第16話 力ー手
ルイの家に着いて、いつものようにルイのお母さんが入れてくれて、階段を上ってルイが部屋に入れてくれた。
「今日は何を教えてくれるの?」
目をキラキラさせながら、ルイは僕の顔を覗き込んだ。
「まあまあ、そんなに焦らないで。勉強も僕も逃げはしないから」
僕はルイの頭をポンポンしながらそう言って床に座った。
「勉強を始める前にさ、ちょっと試したいことがあるんだけど、いい?」
「う、うん。何をするの?」
僕が座った後に続いて、床に座ったルイは答えた。
「ルイが僕を襲った時、僕は人間のものとは思えない力で押さえつけられて、その鋭くとがった爪を持った手で肩を握られただけで流血した。そこで、考えたんだ。その手には人間をはるかに超えた力があって、すべてとまではいかないかもしれないけど、硬いものでもなんでも壊せるんじゃないかって。それと、その牙ももしかしたら同じような力を持っているかもしれないとね。そこで、スイカを買ってきたんだけど、ちょっとこれ、力いっぱい握ってみてくれない?」
そう言って、僕はルイにスイカを渡した。
「分かった、やってみるね」
床が汚れないように、僕はスーパーの袋を開いて持ってうけた。そしてルイは力いっぱいスイカを両手で握った。
バギッッ!!
音を立ててスイカは見事にバラバラに割れて袋の中に落ちた。
「すごい!! やっぱり、思った通りだ」
「すごい……びっくりした(笑) 私、こんなこと、出来たんだ」
「新しいことをまた発見出来て良かったね」
「うん、そうだね!」
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