第14話 切ない想い
「原因が分かったから大丈夫、僕はルイのことを怖がっていないよ。僕も力になるから一緒に解決しようって言ったじゃないか。だから何と言われても僕はルイのことを放っておかない」
「お願いだから!! 離して!! また傷つけてしまう前にっっ!!」
ルイは僕を必死に突き放そうと押してくるが僕はそれに抵抗してルイをさらに力強く抱き締めた。
「お願い、だか、ら……セイくんが、好き、だから……」
「え?」
僕は驚いた。この恋は一方通行で、何もなく終わってしまうと思っていた。たとえ両想いになれなくても僕がルイのそばに居て守ることが、助けることができればいい、そう思っていたのに。
僕も打ち明けることにした。
「僕も好きだよ、ルイ」
「え……?」
「覚えてる? 小さいころ、遊びに行った公園の砂場でルイが砂をかけられていて僕がかばったときのこと」
「う、うん」
「三人を追い払ってから、ルイは笑顔を見せてくれたよね。その笑顔を見て僕は誓ったんだ。ルイが困っていたら僕が助ける。好きだから大切だから僕が守るってね。小さいころから一緒にいることが多くて、ルイの笑顔、顔を真っ赤にして恥ずかしがるところ、泣き虫なところとか、ルイのすべてに僕は惹かれていったんだよ」
「私も、セイくんのすべてに惹かれていったよ。セイくんは、いつも私に優しくしてくれていつも私のことを助けてくれて……。かばってくれた時にキュンとなって気づいたの、ああ、私、セイくんのことが好きなんだって」
「両想いだと知って嬉しいよ」
「うん、私も。けれど、ごめんね、離して……」
「離さない。そんなに怖がらないで。僕は大丈夫だし、あんな状態にならないように気を付ければいいんだよ。それにさっきは驚いたし怖かったけれど、両想いと知った今なら別に傷つけられてもいいかも……なんて(笑)」
「もう、どこまで優しいの……うん、分かった」
涙が止まってかすかにほほ笑んだルイは僕を抱きしめ返してくれた。そのままの状態で少し経ってから、僕たちは床に座って、話の続きをした。
「いくら気をつけるといっても、いつまたあんな状態になるか分からないし、これからは一緒に行動しようよ。ただ一緒に居たいっていうのもあるんだけど(笑)」
「うん! そうしよう、そうしたい(笑)」
僕はルイの手を握って、ルイの目を真っ直ぐ見て言った。
「ルイは僕が守るから……ねぇ、付き合おうよ」
「うん!! 本当に本当に、ありがとう」
目を細めてほほ笑むルイに、僕は何も言わず代わりにそっとルイのおでこにキスをしたのだった。
そして僕は家に帰った。ルイの希望もあってルイの家族や先生には、本当のことを言わず、ここ最近体調が悪く外には出たくないからそっとしておいてほしいのだと話した。
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