第12話 暴走の原因
僕は人間のものとは思えない力で押さえつけられた。
「あぁっっ!! ル、ィ!ルイ!!」
激しい痛みが走った。僕は左の肩を右の手で右の腹を左の手で押さえつけられていた。ルイの爪が肩に少しづつ食い込んでいっているのが分かった。ルイに声をかけるが届いていないようだった。ルイは牙をむいていて、今にも僕を食べようとしていた。両手で必死に抵抗している時にふと上を見てハッとした。
(満月? あの満月のせいなのか?)
街はいつの間にか夜になっていてカーテンが開いて見えた月は煌々と照っていた。
僕は考えた。映画などでよくある、満月になったらオオカミ男になるというのが本当だとしたら、ルイはあの満月を見たせいで暴走しているのか、と。ルイの目を見ると、いつものルイの優しい目ではなく獲物を求める獣そのものだった。僕たちは月に照らされていた。
(この光を遮ったら治まるかもしれない)
そう言って、思いっきり伸ばした右手でカーテンの裾を引っ張って閉めた。すると、ルイはいきなり僕の上に倒れこんできた。暴走が止まったのだ。やはり、あの満月のでいだったのだと僕は確信した。
「はぁ、はぁ……ルイ?」
「ん、んん……」
ゆっくりと体を起こしたルイは、僕の上に覆いかぶさっていることに気づいて驚いた。
「え、私、こんなことしてごめん!! あれ? その肩どうしたの?……?」
(覚えてないのか……?)
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