第11話 暴走
ルイの話を聞き終わって僕は言った。
「教えてくれてありがとう」
「うん」
そしてルイは治りかけの傷を見せてくれた。
「オオカミに噛まれたペテロはルイのように体に異変が起こっていない、ということはオオカミのウイルスは人間にしか影響がないのか? でも、ペテロは、原因が分からずに亡くなった……。オオカミのウイルスが体中に回って痙攣を引き起こしたのか?」
確証はないし、ただの推測に過ぎないが、もしオオカミが独自のウイルスを持っていて、オオカミからペテロに、ペテロからルイにウイルスが入ったとしたら、色々と説明がつく。
「もし、オオカミのウイルスが本当にあったとしたら、ルイは間接的にオオカミのウイルスを貰ったことになるわけだね」
「そうなるのかな……」
謎は深まっていくばかりだった。
「風、強いね」
重くなってしまった空気を変えようと、僕は窓から入ってきた風をきっかけにして話を変えた。小さく、可愛らしいカーテンが揺れている。それに風の音も聞こえた。
「そうだね」
すると、次の瞬間、さっきよりも強い風が吹いて、閉められていたカーテンが勢いよく開いた。
「ほんとに風、強いね。少し冷えてきたし窓を閉めてもいい?」
ルイにそう聞いても返事がない。ルイは僕を追い越して遠くを見ているようだった。
「ルイ? 大丈……」
「グアアアアッッッ!!!」
「ル、イ?」
ルイは僕に襲いかかってきた。
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