第9話 原因の推測ーペテロ <異変>

ペテロの体が痙攣し始めたのだ。


「ペテロ!? ペテロ!?」

「至急、診察室へ来てくれ!!」


先生は電話で助けを呼んだ。そして他の先生たちがやってきた。


「ご家族の方はこちらへ!」


ペテロのそばに居たいと言っても、聞いてもらえず、ルイたちは待合室で待つことになった。  


数時間後、先生が部屋から出てきた。


「ぺ、ペテロは!!」


先生が口を開く前にルイは先生の顔を見て悟った。亡くなったんだと。


「残念ですが……」


ペテロの亡骸を前にして二人は泣き崩れた。


「たとえ、嫌われていても私はあなたのことが好きだったんだよ……」


ルイはペテロの耳元で小さくささやいた。


後で、先生に聞いてルイたちは驚いた。なぜなら、死因が不明だったからだ。大量の血が流れていたのは事実だが輸血をしていたので出血死ではない。一番の謎は、あの痙攣だと先生は言った。なぜ痙攣が起こったのかは分からないし、そしてその後、急に意識を失ったらしい。心肺蘇生をしたり出来ることはすべて手を尽くしたが、結局ペテロは原因不明の死を遂げたのだった。


次の日、ペテロは焼かれてお骨になって帰ってきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る