第8話 原因の推測ーペテロ <動物病院>

動物病院に着くと幸い、待っている人はいなかったので、すぐに先生に診てもらえることが出来た。


先生が傷口を見て言った。  


「この傷はオオカミに噛まれた痕かもしれません」


オオカミの噛み方は犬とは大きく異なると先生は言った。オオカミの歯は獲物の肉を引き裂けるため、噛まれたら犬より深い傷になると。確かにルイの傷口はペテロのものほど深くはない。


「深い傷ですが他に噛まれていなかったのと、そのオオカミが去って行ってくれたのが不幸中の幸いでしょう。さっき、ペテロくんは森で見つけて、横になっていたとおっしゃいましたよね?」

「ええ」

「もしかしたら、そこはオオカミの縄張りだったのかもしれませんね。そこに入ってきたペテロくんを敵だと見なして襲ったんでしょうね。そのオオカミはペテロくんが横たわったのを見て、もう死んだと思ってほっといたのか、それともそのオオカミが自分より弱いものは食べないというプライドの高いオオカミだったのか、それは分かりませんが、とりあえず息があるので良かったです」


時々、オオカミの目撃情報があるが、あの森はオオカミの縄張りだったのかとルイは思った。それを知らずに森に入ってペテロを探していたわけだが、もし、あの時オオカミに遭遇していたらと思うと、ルイは怖くなった。

そして、先生が治療の説明を始めようとした時、ペテロの体に異変が起こった。

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