第7話 原因の推測ーペテロ <脱走>

ペテロはルイの庭で鎖に繋がれて飼われていた。


ある日の正午、ルイのお母さんが餌をあげに庭に行ったときだった。


「ペテロ? ペテロ!?」


そこにペテロの姿はなく壊れた鎖だけが残されていた。鎖にはよく見ないと見つけられないくらい小さく、劣化していた。


「あなた! ルイアーナ! ペテロが!!」


それからペテロの捜索が始まった。家の周りを探してもいなかったため、捜索範囲を広げて探すことにした。まずは家の近くにある森の中を探すことにした。広大なため、あっという間に夜になった。あらかじめ持ってきていた懐中電灯を使って辺りを照らしながら探していた。


「ペテローー! ペテローー!!」


出せる限りの声を出して呼ぶが、正午からずっと探しているため、体も声も限界を迎えようとしていた。するとどこかから弱々しく鳴く声が聞こえた。


「クゥーーン……」

「ペテロ! ペテロ!」

「クゥーーン」

「ペテロだ!」


鳴き声を頼りに探すと、横になっているペテロを見つけた。ペテロを懐中電灯で照らすと、足に何かに噛まれたような深い傷があった。そこから血が流れている。


「ペテロ! 大丈夫!?」


そう言って、ルイはペテロの足に触ろうとした。


「痛いっ!!」


ズキンと鋭い痛みが走った。ペテロに噛まれた手首は血を流し始めた。


「ルイアーナ!!」


お母さんがハンカチをポケットから出して手首に巻いてくれた。


「ありがとう、お母さん。……ペテロ、あなたはこんな時でも、私が触れるのを許してくれないのね」


ルイは冷たくそう言った。


ルイは小さいころから犬が大好きだった。だからペテロのことが大好きだった。でもなぜかペテロには嫌われていた。触ろうとしても、うなられたり噛まれたりすることがよくあった。その点、お父さんやお母さんにはよく懐いていた。

ペテロは代わりにお父さんが手当てをしてくれた。そしてペテロはお父さんに抱きかかえられ、ルイたちと家に帰った。家に帰ってすぐに車で動物病院に向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る