第6話 原因の推測
あの日、そう誓ったのを、僕は今も忘れていない。僕は言った。
「変わってないね」
「え?」
「その泣き方(笑)」
顔を赤らめるルイが可愛くて、僕は思わずルイを抱き締めた。
「セ、セイくん!?」
「大丈夫だよ。僕も力になるから一緒に解決しよう」
「うん……ありがとう」
ルイの心は安心感で満たされていき、次第に涙も止まった。
「でもどうして、急に生えてきたんだろう?」
よく見るとルイの手には鋭くとがった長い爪が生えている。僕はあらゆる可能性を考えた。将来研究者になろうとしている僕は学校で学んだ知識を頭の中で思いめぐらせた。
(ルイの耳や爪は見るからに、オオカミのようなものだ)
僕は、もしかしたら、と思った。
「ルイ、ここ最近、ケガはしていない?」
「ケ、ケガ?」
「そう、ケガ。ルイの耳や爪ってオオカミみたいだろ?」
僕はスマホで、オオカミの耳を調べてルイに見せた。
「う、うん、そうだね」
「こんなこと信じられないかもしれないけど、オオカミがウイルスを持っていたとしてそれがルイの傷口から入ったとしたら……」
「でも、そんなの、映画とかの中の話じゃ……」
「それが現実に起こっているとしたら……」
「そういえば、この前、オオカミではないけれどペテロに噛まれて傷が出来たの……」
ペテロはルイの家で飼われていた、一週間前に亡くなった犬だ。
「その話、教えてくれないかな?」
「うん……」
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